国際協力 NGO ジャパン・プラットフォーム(JPF)| Japan Platform

紛争や災害時の緊急・人道支援を行うNGO組織 ジャパン・プラットフォーム

第2回災害時の連携を考える全国フォーラム(JVOAD主催)に参加

全体趣旨

災害時の教訓や対応課題について支援の担い手が考える「第2回 災害時の連携を考える全国フォーラム」が5月26日と27日、東京・両国の国際ファッションセンター KFCホールで開催され、JPFも理事団体として参加しました。主催したのは、災害支援者同士の連携を促進し、支援の調整を実行するボランティア全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)。
昨年に続く第2回となった今年は、全国の行政、企業、社会福祉協議会、NPO、NGO、大学、研究所などさまざまな分野から500名(主催発表)を超える方が集まり、互いに理解し合い、さらなる連携を深化させる場となりました。

さまざまな分野の人が集まりパネルディスカッション©JPF

2016年も熊本地震、岩手県岩泉町などに豪雨被害をもたらした台風10号、最大震度6弱を観測した鳥取県中部地震など、次々と自然災害が発生し、各地で被害をもたらしました。災害が起こった時に支援者が協力し合い、ベストを尽くすことはもちろん大切ですが、災害が起こる前の段階からできることはないか・・・・・・。初日のパネルディスカッションには、阿久津部長がパネリストとして登壇し過去の災害支援におけるNGOの課題を発表し、分科会ではJANIC(国際協力NGOセンター)とともに「現場で活かせる世界の共通ルール~進化する支援の国際基準~」をリードしました。

さまざまな分野から500人以上が参加、支援団体の活動を紹介する資料を手にする人々©JPF

初日 オープニング

初日のオープニングでは、栗田暢之JVOAD代表理事が、災害時には行政を柱として多様なセクターが尽力するからこそ平時から話し合うことに意義があると、開催趣旨を述べました。続いて、加藤久喜内閣 府政策統括官(防災担当)と室﨑益輝 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科研究科長教授が来賓挨拶。加藤氏は、熊本地震に関して県内で支援活動をする団体や行政などが集まる場である「火の国会議」について、「ボランティアや支援団体や地元の皆様を結ぶ画期的な動きとなった」とし、連携がより効果的な支援となると話されていました。また、蒲島郁夫熊本県知事からのメッセージも代読されました。

初日 オープニング©JPF

初日 パネルディスカッション

続いて、JPFも登壇したパネルディスカッション。東北大学災害科学国際研究所の丸谷浩明氏の進行のもと、「阪神・淡路大震災から今日までの災害対応の変遷を振り返る」というテーマで各分野を代表する8人のパネリストが議論を展開しました。

パネリストの一人として登壇したJPF地域事業部の阿久津幸彦部長は、個別のプレゼンテーションの時間に、NGOのをとりまとめる立場から「国際協力に加え国内災害対応に至った経緯」というテーマで発表しました。
阿久津部長は東日本大震災に関して、「マグニチュードや津波の大きさ、多くの国際支援経験からすぐに出動を決めたこと」「政府現地対策本部(宮城県庁内)にNPO・NGOの代表として参加できたこと」「NPO・NGOの頑張りがなければ、あれほど円滑な自衛隊の撤退はあり得なかった」などを実績として報告。JPFの強みとしては、「災害時にNPOやNGOへの資金助成を行うJPFには情報が集まること」を挙げました。課題としては、東日本大震災の時は個人の力で行政と連携することができたが、組織内にシステムとして行政と連携する体制を確立していくことが必要とし、平時からの地元NPO等の人材育成やJVOADとの連携を通して、行政との連携も強化していきたいと話しました。
またパネルディスカッションで阿久津部長は、国際社会では「スフィア・スタンダード」等の「災害支援の国際基準」を指針としていることに触れ、「災害時に弱い立場になる方への配慮をしていくことが大事」と支援における心構えを話しました。

ほかにも、児玉克敏氏(内閣府政策統括官(防災担当)付 企画官(普及啓発・連携担当))、渋谷篤男氏(社会福祉法人全国社会福祉協議会 常務理事)、阿部陽一郎氏(社会福祉法人中央共同募金会 事務局長)、津久井進氏(日本災害復興学会 災害復興支援委員会 委員長・弁護士)、白土直樹氏(日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 次長)、栗田暢之氏(JVOAD代表理事)が登壇。企業を代表して登壇したのは1%(ワンパーセント)クラブの長沢恵美子事務局次長で、「理解し合っているだけではだめで、物流はどうする?など先延ばしになっている問題を解決していきたい」と力強く話していたのが印象的でした。こうした具体的な話し合いも可能にするのが、続く後半の分科会でした。

初日 パネルディスカッション©JPF

初日 分科会

初日の分科会は5つのテーマで開催されましたが、JPFは「分科会4 現場で活かせる世界の共通ルール~進化する支援の国際基準~」を国際協力NGOセンター(JANIC)とともにリードしました。
冒頭でテーマの趣旨を説明したのは、JPF緊急対応部の柴田裕子部長。柴田部長は、アフガニスタンなど海外で人道支援に従事し、JPFではイラク、シリア、南スーダン、アフガニスタンなどの紛争やモンゴルやハイチ、ネパールなどの自然災害において緊急人道支援に関わる助成事業の統括経験を持ちます。そんな柴田は「受援力を上げていくことが大切」とした上で、東日本大震災の反省として、「支援の共通言語を理解できるアクターが少なかった」と課題を挙げました。その共通言語となるのが、分科会4のテーマでもある「支援の国際基準」です。「本当に日本での支援に国際基準は必要か? 本当に支援の質は変わるのか? 皆さんと考えていきたい」と分科会で共有したいことを述べました。

初日 分科会©JPF

国際基準の必要性について具体的に発表したのは、日本ファーストエイドソサェティの岡野谷純代表理事。災害支援における活動の質の向上(Quality)と被災者への説明責任(Accountability)を果たすためにも、人道支援における最低基準(Q&A、スフィア・スタンダード)が重要だと話しました。プレゼンの中では東日本大震災で被災した人々にJANICが行った調査結果が紹介されましたが、支援する側と受ける側のギャップがはっきりと見られたことが印象的でした。例えば、被災した人々への調査では「支援活動に関する説明を受けなかった」とする人が20%いるのに対し、支援した団体への調査では「住民などに説明責任を果たせた、ある程度果たせた」と答える人が90%。また、支援によって「不快な思いをした」という受け手も14.3%を占めました。
こうしたギャップを埋めるためにも、「その支援で十分だったか。最後の一人まで届いたか。受けては満足できたのか」という点を振り返って作られたQ&Aは一つの指針となるもの」と説明しました。

※本会では国際基準の中身にまでは踏み込みませんでしたが、具体的に内容をお知りになりたい方はJANICよりお求めください。
http://www.janic.org/more/accountability/development/sphere/

この「国際基準」については自治体も興味を示しており、本会で発表してくださった弘中秀治氏(宇部市健康福祉部・地域福祉課課長補佐)もその一人です。宇部市は1999年の台風18号により高潮被害を受けるなど、災害対応を経験しています。「膨大な点の情報を面にする意識をしてきたこと」「防災は俯瞰的に全体を見ることが大切」などの気付きを発表してくださいました。宇部市は2018年1月に宇部市社会福祉協議会の全職員や一般の方を対象に、国際基準に関する研修を開催することを決めているそうです。

初日 分科会©JPF

最後の個人発表は、難民支援協会(JAR) の石井宏明常任理事。現場経験から、東北や熊本での支援活動の課題をお話いただきました。

全体のディスカッションでは、難民を助ける会(AAR Japan)東京事務局の五十嵐豪プログラム・マネージャーがコーディネーターを務めてくださいました。宇部市の弘中課長補佐は国際基準がガイドブックとなっている点について、「経験を言葉にしたのがいい」と評価。またJPFの柴田部長は、「ヨーロッパなどの海外では、国際基準を守っているかどうかが、寄付先として支援団体を選ぶ基準としている」とし、事例を挙げました。

閉会の挨拶は、国際協力NGOセンター(JANIC)の松尾沢子能力強化グループマネージャーが務めました。

初日 分科会©JPF

2日目

2日目の朝は「熊本地震から考える、支援のコーディネーション」というテーマでパネルディスカッション。パネリストには、奥村敬介氏(益城町 危機管理課危機管理係 主事)、江崎太郎氏(一般社団法人よか隊ネット熊本 事務局長)、樋口務氏(NPO法人くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD) 代表理事)、木村忠治氏(熊本県 子ども・障がい福祉局 障がい者支援課 審議員)、毛利聖一氏(熊本日日新聞社 政経部長兼論説委員)、村上明子氏(一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART) 理事)が登壇。JVOADの明城徹也事務局長の進行のもとで議論が進められました。新聞では被災地の問題や困りごとなどが記事になりますが、その後になかなか解決されないもどかしさを感じるとの意見も出ました。明城JVOAD事務局長からは「協働の必要性」についても触れられました。また、インターネット上での検索キーワードを追うと、次のフェーズでどんな支援が必要とされているかも見えてくる例が紹介されました。
この日も5つの分科会が開催され、JPF広報担当は分科会10の「官民連携の深化と平時施策への展開」に参加させていただきました。行政や社会福祉協議会は、NPOやNGOに対しては警戒感があるもの。どうアプローチして信頼を得たかという話を興味深く聞きました。社会福祉協議会と信頼関係を築くきっかけとなったのは、プロレスの話だったという話をしてくれたのは、JPFが岩手支援を業務委託しているいわて連携復興センターの地域コーディネーターを務める大向昌彦氏。笑いも起こる和やかな雰囲気の中で、会は進行しました。

2日目©JPF

午後は再び全体セッション。まずは、2日間にわたる10の分科会で出された報告や課題などを共有しました。また、日本NPOセンター 特任理事の田尻佳史氏をコーディネーターとして、吹田博史氏(武田薬品工業株式会社 コーポレート・コミュニケーション&パブリックアフェアーズ CSR 企業市民活動・寄付担当部長)、笹川博子氏(日本生活協同組合連合会 組織推進本部 本部長)、高橋良太氏(社会福祉法人全国社会福祉協議会 地域福祉部長/全国ボランティア・市民活動振興センター 所長)が「備え」をキーワードに話し合いました。吹田氏は支援の国際基準について議論した分科会4の発表を受け、「国際基準を知らなかった。企業も含めて共有してほしい」と話しました。また、企業の協力を得るためにも、企業特性を知り尽くすことも大事だと述べました。

セッション後、東京ボランティア・市民活動センターの山崎美貴子所長が総括。文化、ミッション、仕事の仕方が違うことを受け入れた上で、組織が連携することの大切さを訴えました。JPFがリードした分科会4に参加してくださった山崎所長は、国際基準を共有すること必要性についても述べられました。
最後に、JVOADの阪本真由美理事が、フォーラムに参加したことで人脈を広げることができたのではないかという期待を込めた挨拶をして閉幕しました。

2日目©JPF