国際協力 NGO ジャパン・プラットフォーム( JPF )| Japan Platform

紛争や災害時の緊急・人道支援を行うNGO組織 ジャパン・プラットフォーム

JPF共同代表理事 2012年度 年次対談 日本の緊急人道支援のプラットフォームから
共に生きる価値の創造を。 2012年度JPF年次報告書より

JPF理事 原田勝広×JPF共同代表理事 有馬利男
原田 勝広(はらだ かつひろ)有馬 利男(ありま としお)

ジャパン・プラットフォーム発足13年目を迎え、有馬共同代表理事と、原田理事が、これまでとこれからを語ります。

NGO、経済界、政府の対等なパートナーシップを実現

原田
原田勝広 ジャパン・プラットフォーム(以下、JPF)は、2000年、日本の緊急人道支援の新しい仕組みとして誕生しました。当時問題となっていた、コソボ難民への人道支援が世界中に求められていた中、日本の各NGOには単独で迅速で包括的な支援を行うだけの財政基盤が十分にはなく、日本はプレゼンスを示すことができませんでした。この経験を教訓とし、NGO、経済界、政府(外務省)が対等なパートナーシップの下に三位一体となり、それぞれのリソースを持ち寄って、日本の緊急人道支援の、迅速かつ効果的な実施という目的に向かって連携していく構想が実現したわけです。
有馬
そうですね。JPF発足当時、私のいた富士ゼロックスも、その目的に共鳴し、経済界として協力した企業の一つでした。ちょうど同じ2000年に、私が別の形で関わりはじめた、国連グローバル・コンパクト(以下、GC)も、社会、経済を健全なものにしていこうという考え方からきています。どちらも、21世紀の幕開けとともにスタートしましたね。JPF設立以来、三位一体の機能のもと、40以上の国と地域を対象に、800以上の事業、総額280億円以上の助成という大変な規模の活動をしてまいりました。
原田
以前は、世界のどこかで緊急人道支援が必要となったとき、日本のNGOはまず募金からスタートして、1ヶ月後にやっと現地入り。遅すぎて支援の輪に入れなかったというのが実情でした。JPFの仕組み、現地情報、そして初動資金があるおかげで、今日何かあったというとき、翌日に成田から飛ぶことが可能になりました。これがJPFの特長であり、強みですね。
有馬
有馬利男 JPF事務局の存在は、まさに三位一体がオールジャパンとしてきちんと機能するためにあります。例えば、実際に現地で活動をするNGOは、どこでもいいわけではない。数ある中から、しっかりと経験、知識、実績を伴った団体でなければなりません。各NGOへの助成を決定するまでには、厳しい審査プロセスがあります。現地で必要な支援は多岐に渡り、毎回、関連の専門家と事務局による「助成審査委員会」で、その安全性、経済性、実現性などをアセスメントし、さらに経済界、NGO、外務省、有識者等の代表による「常任委員会」で、妥当性や総合的な見地からの判断を加え、最終的に合格したものにゴーサインがでる。このプロセスを緊急支援にふさわしいスピードで行うわけです。もちろん、JPF事務局スタッフによる事業のモニタリングで、随時確認、フォローアップすることも欠かせません。大切なODA資金も税金ですし、寄付金も個人または企業の大切なお金。これらを有効に使うことは我々の使命ですからね。

東日本大震災におけるNGO連携現地ニーズと企業のマッチング

原田
JPFの良さを理解いただき、東日本大震災の被災者支援の際には、企業をはじめ、国内外の多くの支援者から総額70億円という多額の資金を寄せていただきました。
有馬
東日本大震災におけるNGO連携現地ニーズと企業のマッチング東日本大震災におけるNGO連携現地ニーズと企業のマッチング 各企業には本当に感謝しています。JPFとしては初めての本格的な国内活動でしたが、私たちの強みであるスピーディさが活かされたと思っています。当時、幸いインターネットは繋がっていたので、もう一人の代表理事と事務局の3カ所で、それぞれテレビのニュース画面を見ながらメールで対応を協議しました。国内拠点もなく資金準備もありませんでしたが、地震発生2時間46分後には出動を決断、アナウンスをしました。当日夜には、いくつかの企業が緊急初動資金としてくださった合計約5,000万円が集まり、それが70億円への第一歩でした。加盟NGOの素早い事業計画を審議決定し、大規模な緊急人道支援を実現でき、また、JPFとして初めて、加盟団体だけでなく、地元NPOなどにも助成対象を広げた「共に生きる」ファンドを立ち上げました。こうした幅広い助成により、現在までに約57億をきちんと有効活用することができている。また、JPFの名も知られていない東北の現地で信頼関係を築き、各NGOの連携を可能にするための調整が、JPFの果たした重要な役割の一つでした。震災から2年半が経った今も、現地で復興に取り組む支援団体を、資金や運営の面で幅広く支えるシステムが稼働しています。
原田
JPFの役割として、各企業が提供してくださる支援物資やサービスを、現地で活動しているNGOのニーズとマッチングし活用していくことにも非常に努力しましたね。

ジャパン・プラットフォームを活用した新しい価値創造

原田
特に震災以降、企業のCSRに対して、社会の関心が非常に高まっていますが、ぜひ“日本の財産”ともいうべきJPFを活用してほしいですね。
有馬
ジャパン・プラットフォームを活用した新しい価値創造 1つは、緊急時の資金的なサポートはもちろんですが、出向など人的なサポートもぜひ検討していただければ嬉しいです。JPFという組織運営にとって、企業人の持っているノウハウは非常に必要とされています。一方、企業人にとってもJPFに身を置くことで視野が広がり、彼らが企業に戻った際の新しい価値創造が期待され、人材育成にも役立つと信じています。もう一つは、今後、紛争地や災害地が復旧から復興に入っていくフェーズで、企業にとっても、BOP層の人々の生活に、ビジネスを通じてどのように貢献できるか考える機会となるのではないでしょうか。おかげさまでJPFは今年で13年目を迎えますが、今後、より系統的なまとまった戦略を持った支援の実施をしていきます。例えば、ミャンマー(ビルマ)連邦共和国は、半世紀に渡る紛争が続いていた中、2011年3月より急速に政治、経済、社会の変革が進みはじめています。JPFはこの情勢を受け、事務局と加盟NGOが、プログラム立案のための現地合同調査を実施しました。そして、従来NGO活動に対して厳しい制限があったミャンマーにおいて、在ミャンマー日本国大使館やJICAの協力のもと、現地政府からJPFとして正式に許可を得て、加盟団体の支援活動開始が決定しました。この新興国市場に日本の各企業も注目していますが、JPFの支援地域に企業として接点を持つことは、非常に意義があるはずです。企業は儲かるだけの視点ではなく、人道的な視点から必要である事に視野を広げ、それが中長期的にビジネスとしても花を咲かせるための知恵を絞っていくことが大切なのではないかと思います。
原田
CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)という考え方が注目されていますが、まさに、JPFはそのような企業とのアイディア交換の場、新しいコミュニティとなる可能性に満ちている。経済人は積極的に参加してほしいと思います。
有馬
そうですね。この成熟した日本で、新しい視点での価値創造をどのように求めて行くか。企業目線一辺倒でいくと、なかなか通用しないものがある。その中でNGO的な目線や考え方が益々重要になっていくと思います。私もGCの場などを通して、企業とNGOの境目がどんどんなくなり、オーバーラップし始める時代に入っていることを実感していますが、JPFというプラットフォームは、そのような関係性で恊働していける大きなポテンシャルを持っているのです。

15年間のパートナーシップで醸成 市民社会をつなげ、国内外に人道支援を届けるプラットフォーム-JPF共同代表理事 有馬利男×JPF共同代表理事 木山啓子×JPF理事 エディ操×JPF常任委員アドバイザー 金田 晃一

企業市民として期待される、企業の役割。市民社会の中で求められる、ジャパン・プラットフォームの役割。-JPF理事 古賀信行×JPF共同代表理事 有馬利男