アフガニスタン復興NGO東京会議
総合アピール
(和文要約)

 アフガニスタンと日本のNGOならびに民間ボランティア団体は2001年12月11〜13日に「アフガニスタン復興NGO東京会議」を開催した。その結果、アフガニスタン復興計画にアフガン人の声を反映させるべく本アピールを採択した。
  日本のNGOは世界各地で復興支援活動を展開してきた。活動の基本姿勢は、当該地域の人びとが復興計画の主体となることである。コソボや東ティモールでみられた国際機関主導の復興計画は、アフガニスタンでは繰り返されてはならない。アフガニスタンの地域理解やアフガン人自身の関与なく過去実施された支援計画の結果は憂慮すべきものであった。
  アフガニスタンの復興開発には長期的かつ持続的な支援が必要である。アフガンNGOは過去13年間逆境を乗り越えて実績を積んできた。アフガンNGOは同国に対する復興開発支援の担い手となる資質を十分に備えている。
  「アフガニスタン復興NGO東京会議」はこのような現状認識のもとで開催された。この会議が、支援国、特に日本政府がアフガンNGOの意見を理解し、国際協調のもとでアフガニスタンの再建をはかる土台を築く契機となることを願う。本アピールが2002年1月21〜22日に東京で開催される「アフガニスタン復興支援拡大閣僚級会合」およびアフガニスタン復興に関する多方面の国際会議で活用されることを期待する。
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 〈1〉復興過程におけるアフガンNGOの主導的役割
   アフガンNGOの数は増加しつつあり、復興過程における彼らの役割は重要である。帰国アフガン人との連携、国際NGOとの ネットワーク構築、民間部門の活性化など復興期の課題にアフガンNGO自身が応えられることは多い。アフガンNGOは地 域の必要性にもとづいた復興計画を実施するなかで、外部者の指導ではなく支援を必要としている。
 〈2〉復興計画の持続性と資金源の多様性
   復興計画の持続に必要なものは、一度の多大な支援ではなく、適正な規模の継続的な支援である。また多国間援助とともに二国間援助をもNGOが利用できるよう、資金源は多様でなければならない。
 〈3〉政治的安定
   復興計画を円滑に実施するために、国際社会はアフガニスタンの政治的安定をはかる必要がある。
 〈4〉支援政策決定の透明性
   アフガン人の意見を反映しない復興計画は不十分である。計画立案の前に、アフガンNGOが自らの手で復興計画に取り組めるよう地域社会に対する包括的な事前調査を行う必要がある。
 〈5〉支援の「速さ」という「神話」
   アフガニスタンにおいては復興支援を迅速に開始することが求められている。しかし、「速さ」は時として有効な解決策とならない。地域社会の発展速度にみあうようにプログラムの実施計画を組み立てることが重要である。
 〈6〉復興計画の規模
   人材、ニーズ調査、現存する制度等を考慮に入れて望ましい復興計画の規模を決定すべきである。
 〈7〉「破綻国家」という現象
   緒方貞子氏の「アフガニスタンは世界から見捨てられてきた」との言葉は的をえている。国際社会から協力を絶たれた「破綻国家」が世界的に深刻な影響を与えることはアフガニスタンの事例からも明らかである。アフガン問題に取り組むことを通じて、「破綻国家」が生起する様ざま問題に対処する体制を整えるべきである。
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