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CONTENTS

目次

第1章

第2章

第3章

第4章

第5章

第6章

実施項目一覧

▼添付資料一覧
第1回ワークショップ概要
第1回ワークショップ議事録
NGOヒアリング内容議事録
     JEN
     AAR Japan
     WVJ
     NICCO、JAFS、JIRD
第2回ワークショップ概要
第2回ワークショップ議事録
ステークホルダー・ヒアリング内容議事録

調査報告書

戦略的アカウンタビリティのフレームワークを用いての
アカウンタビリティ・システムの構築を目指して
−ジャパン・プラットフォームの事例−

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第4章 JPFアカウンタビリティの課題

第1節 NGO のJPFアカウンタビリティに対する理解度
※本節の詳細については、第2回ワークショップ議事録を参照

(1)各ステークホルダーとのつながり
 JPFを通じた各ステークホルダーとのつながりに関しては、外務省および経済界以外のステークホルダーとの関係性は現状では希薄である。また、外務省および経済界との関係性においても、JPF事務局が窓口となって対応する事例(資金のとりまとめ、報告会など)が多いため、JPF評議会以外でのNGOとの連携が乏しい。

(2)アカウンタビリティを果たす上での障害/課題
 アカウンタビリティ活動の理想は、説明責任を果たすことにより今後の関係性を構築することにある。しかし、JPFの支援スキームはプロジェクト・ベースの活動が主なため、各々のプロジェクトが終了すれば関係が途切れてしまうというのが現状である。


第2節 NGOが考えるアカウンタビリティとの乖離

(1)アカウンタビリティ活動を行うにあたって障害となったこと(具体例)
 スマトラ沖地震の緊急支援後に行われた経団連報告会において、参加企業リストが経団連よりJPFに提出されなかったため、NGO側も把握することができなかった。その後のパキスタン地震時には、スマトラ沖地震時から新たに経団連報告会に参加した企業が支援を表明したこともあり、経団連との情報共有を促進することが、個別企業との新たな関係構築に寄与する可能性が高い。
 また、事業の副次的なものとして得られるべき学び(Lessons Learned)を得ることができなかった。現状は評価ミッションの後に学びが共有されることが多いが、今後はNGOが集まりワークショップを開いて、事業を通じて学んだことを議論し、ステークホルダーと共有すべきだと考える。例えば、グローバルスタンダード(i.e.スフィア・スタンダード)と現地政府による規制の間にギャップが生じた際、JPFを通じて現地政府に何らかのアクションを取ることも可能である。

(2)今後の活動方向性(案)

  1. 報告形態の自由化
    JPFのホームページに、各NGOが独自に報告書を掲載できるような仕組みを構築。この結果、機会は平等に与えられるが、報告書の形式や中身によって結果を差別化することができる。

  2. 企業のオーナーシップ意識向上のための仕組み作り
    企業担当者がオーナーシップ意識を持ってもらえるような、仕組み作りが必要。JPFに資金を提供した時点で関係性が終了するのではなく、継続的な支援活動の報告を通じて、企業との関係性においても継続性が担保されるべきである。例えば、各NGOからのメールマガジンを定期配信したり、JPFホームページ内に掲示板を立ち上げ、NGO・企業それぞれの担当者がリアルタイムで意見交換できる仕組みを構築する。

  3. ポジション・ペーパー
    支援対象国でどのような支援を行い、その結果、どのような問題を解決するのか、NGOが集まって意見集約を行う。自然災害のような緊急支援では難しいが、スーダンなどのSlow on Setの支援であれば可能。

  4. ガイドラインの整備
    計画書および報告書における要求事項を明確にする。現状は、JPFの加盟時期によって、各NGOが保有している情報に差がある。

  5. JPFポリシーの明確化
    事業の優先順位を明確にする。例えば、民間資金による支援内容がソフト面を重視した事業が多い場合などに、ソフト事業を後回しにすることの是非など、緊急支援時の優先順位を明確にすべきである。

  6. 関西におけるJPF広報活動の必要性
    関西ではJPFのスキーム自体に対する認知度が依然低く、間違ったイメージを持つ一般市民およびNGO団体が多く存在するのが実状である。JPF参加NGOとして、アカウンタビリティの視点に立った広報活動を推進することは重要だが、まずは広報活動を通じてJPF自体に対する理解を深めてもらう必要がある。一般市民による認知度が向上すれば、JPFに参加する関西NGOの増加につながり、ひいては、外務省や経済界による資金提供が拡大するという好循環が生まれる。
    また、関西で活動報告会を行う際、地方紙などのメディアに取り上げられる機会が多いという優位性がある。今後は関西でもメディア懇談会を開くなど、この優位性を活かした広報戦略を組み立てる必要がある。

  7. JPFと関西NGOの関係性強化
    関西NGOは地理的な制約があるため、評議会や理事会などに常に参加できず、JPFの動向に関する情報をリアルタイムに得るのが困難な状況にある。今後は定期的(2ヶ月に1度の予定)にJPF事務局のスタッフが関西を訪問し懇談会を開催予定になっているが、最も望ましい形は、関西にもJPF事務所が設置されることである。
    また、資金獲得という観点では、組織のトップ同士による合意や、担当者同士の信頼関係が醸成された上で達成されることがあるので、このようなインフォーマルなスキームの改善点をJPF事務局および関東NGOと議論することが必要である。

(3)団体独自で実施されているアカウンタビリティ

  1. ステークホルダー別の報告形態(JEN)
    それぞれのステークホルダーが求めるものに応えるため、同一事業でもドナーにより報告の伝え方を変える工夫をしている。例えば新規・既存の区別、ビジュアルを多く求めるか、データを重視するか、現地のストーリーを求めるか、計画との整合性を重視するかなどの傾向を読み取り、報告量や報告形式(訪問による報告、書類のみによる報告など)、報告のタイミングなどを考慮している。

  2. 支援効果の数値化(AAR)
    AAR独自の事業モニタリングを現地に派遣された国際スタッフが行っている。その際、支援の効果を統計化し数値で報告している。

  3. 専門家による会計監査(WVJ)
    財務部とは別に、海外事業部に国際財務課を作り、会計士などの専門資格を持つ職員が、現地から送られてくる月報(会計報告書)などを精査している。この仕組みにより、海外事業部と財務部による会計のダブル・チェックを行うことができる。将来的にはこの職員を現地へ派遣することも考えている。


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