■調査結果■
受益者へのインタビューによるアンケート調査分析受益者所有農地の視察

 5.受益者へのインタビューによるアンケート調査分析
   本調査は事前にアンケート用紙を作成し、その内容項目に沿って受益者へインタビューし、アンケート用紙に記載する方法で実施した。アンケートのサンプル及び、アンケートをまとめたものについては別ページ参照。
 
調査日 調査地区名 調査農家戸数
11月19日 南部州カロモ県トゥワチヤンダ地区 2
11月20日 南部州カロモ県シアチテマ地区 5
11月21日 南部州マザブカ県マゴエ地区 4
11月22日 南部州マザブカ県チブナ地区 4
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[5-1] 受益者へのインタビューによるアンケート調査分析
  (1)所有農地面積及び耕作地面積
 各世帯の所有農地面積は0.5ha 〜24haと格差があり、平均農地面積は5.5haであった。また、実際に耕作している面積は0.25ha 〜8haで、平均耕作地面積は約3haであった。これは「ザ」国の小規模農家の標準耕作地面積(5ha未満)の範囲内にあたる。メイズの作付面積は、大雨による洪水被害のあった2000-2001年のシーズンが平均1.4haで、旱魃の被害を受けた2001-2002年のシーズンが平均1.3haであったが、普段の年は平均2.6haであることから、2年連続した異常気象の影響により、種子と肥料の調達が困難なものとなり、作付面積を縮小せざるを得なかったことが窺われる。
  (2)作付け形態
 作物の作付け形態は、主食のメイズは全12世帯が栽培しており、その他に落花生、豆類(ササゲ、インゲン)、ソルガム、サツマイモを食用作物として、綿花、大豆、ヒマワリを換金用作物として栽培している。特に綿花を栽培している世帯は、綿生産会社との契約により所有農地で栽培し、現金収入を得ている。換金作物を除く食用作物は、余剰生産があれば販売や物々交換を行う年もあるようだが、基本的には自給食糧としての栽培である。播種時期は雨天栽培であることから、雨季の始まる11月〜12月に集中している。
  (3)メイズの施肥と収量
 メイズ栽培は、1haに必要な施肥量(D-COMPOUND200kg、UREA200kg)を施した場合、標準平均収量は3.5〜3.7tである。しかしながら12世帯の内、通常の年は無施肥栽培を実施している農家が9世帯も存在し、1ha当たり平均が1.5t以内と低収量なのに対し、施肥栽培をしている世帯は1ha当たり平均3.2tの収量をあげている。但し「ザ」国では、本事業対象地区を含む小規模農家の殆どが、無施肥栽培若しくは必要施肥量以下で栽培を行っている現状にある。
  (4)穀物倉庫在庫量
 調査した受益者12世帯は、1世帯を除き穀物倉庫を所有していたが、在庫は全く無しという状況であった。現在彼らは、援助による食糧、飼育家畜(肉や卵)、木の実やブッシュミート(野鼠等)等を採取狩猟した物を食し、飢えを凌いでいるとのことであった。現地配布調整協力者からの情報によると、受益者を含む農民の90%以上が穀物の在庫は無いとのことであった。
  (5)家畜
 12世帯の内、11世帯が家畜を飼育していた。現地配布調整協力者からの情報によると、各地域の農民の殆どが何らかの家畜を飼育しており、食用目的以外に、販売や物々交換するなどをして現金、資材等を入手する貴重な財産になっているということであった。
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[5-2] 受益者所有農地の視察
   各地区による受益者へのインタビュー終了時に、受益者所有の農地視察を行った。10月下旬の降雨の後メイズの播種を終え本葉が6〜7枚まで生長している農地、既に元肥となるD-COMPOUNDの施肥とメイズの播種を終え次回の降雨を待っている農地、耕起中の農地、耕起を終え施肥中の農地、耕起を終えて元肥を施肥し次回の降雨に合わせてメイズの播種を待っている農地などを視察することができた。特記すべき点としては、各地区の農地でConservation Farming(※CF)が実施されていたことである。CFは、旱魃被害の受け易い地域において持続的農業を営む農法とされ、農業省が推薦している。WVZでも数年前からCF農法の普及を実施しており本事業対象地区においても配布種子(特にメイズ)に関しては、CF農法での準備をするよう指導していた結果、受益者を含む地域農民まで広まったものと考えられる。
  ※CF:1996年から開始された農法で、多収が望めるとのこと。基本的には前作の残渣(収穫後の茎や葉)を農地の3割以上被覆するよう残し、農地を全面耕起しないで、一定の間隔で播種溝(ポットホーリング)を鍬で掘り、播種溝底に元肥を施し土で被覆し、降雨により充分土が湿ったのを確認後播種する農法である。
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