NGO能力強化研修プログラム

事業管理部 増田 育真

大学院博士前期課程(国際学専攻)を修了後、国際協力機構 (JICA) が実施する海外ボランティア派遣制度である青年海外協力隊に参加。ネパールで2年間、山岳農村地域のコミュニティ開発に携わる。2017年4月にJPFへ入職してからは、事業管理部にて主に助成事業の申請受理、NGO能力強化、安全対策等に携わる業務を担当している。

◎これまでのこと
ヨルダンとネパールで体験した現場

学部・大学院を通して、主に国際開発援助・国際協力・平和研究等を学びました。大学院での指導教官は、長くシリアに関わり、2011年に紛争が勃発してシリアに入国できなくなってからはシリア難民支援を目的とするNGOを設立するなどしていました。私も次第にシリア難民の問題に強い興味を持つようになり、修士課程2年次にシリア難民を対象に、ヨルダンで3ヶ月間フィールドワークを実施し、「ヨルダンにおける難民政策」をテーマに修士論文を執筆しました。

一方で、「学んだことは支援の現場で役立つのだろうか」という素朴な疑問を持つようになり、支援が届く末端となる現場をこの目で見て、ひ益者から話を聞いて確かめたいと思うようになりました。それでJICAが実施する青年海外協力隊に参加。ネパールに派遣され、山岳農村地域で現地の方々と寝食を共にしながら村落開発活動を行いました。そこで実感したのは、20年間にわたって実施してきた支援事業ですら、その理念を草の根まで伝えることの難しさです。住民主体とはいうものの、実際に現場で実践することは容易ではなかったのです。でもそれを肌で実感できたのは、現場を見たからこそだと思います。

また、ネパール赴任の約4ヶ月後には、ネパール大地震(2015年)に遭遇しました。共に活動した村人達が被災し、非常に困難な生活を余儀なくされる状況を目の当たりにしました。このようなヨルダンとネパールでの経験を機に、人道支援の分野に携わりたいと思うようになりました。

JOCV活動中の写真
JOCV活動中の写真©JPF

◎JPFへの道
支援実施アクターのコーディネーションと支援の質の向上をめざして

JPFを選んだ理由は、現場から一歩目線を引いて、支援実施アクターの調整や支援の質の向上に寄与できる業務を経験したいという思いからでした。シリアの難民支援やネパールの震災支援の現場では、多くの人道支援実施団体が入り乱れる中、支援の不要な重複がある一方、まったく支援の行き届かない人々がいました。こうした事態を改善するには、現場のコーディネーションが必要だと強く感じたのです。また、まれに見られる非効率かつ無益につながりかねない「ばら撒き型」の支援ではなく、「ひ益者目線」の支援を行わなければならないと思いました。

JPFは加盟NGOや外務省、企業のコンソーシアムです。このコンソーシアムの中で、人道支援のプロとしてNGO同士が互いに情報を共有し、好事例を学び合い、強みを活かし、弱みを補うといったコーディネーションを促すことがJPFの役割だと思っています。また、JPFは、NGOが実施する助成事業のモニタリングを定期的に実施し、ひ益者の目線に立った支援事業の評価を行っています。その結果を加盟NGOにフィードバックするとともに、様々な勉強会や研修会を企画・実施することによって、支援の質の向上にも寄与しています。この点に魅力を感じました。

JOCV活動中の写真
JOCV活動中の写真©JPF

◎私のミッションとこれから
世界の中での日本のNGO

私が所属する事業管理部は、NGOが申請した助成事業の主に予算部分を精査し、予算設計の観点から効率的かつ質の高い事業形成のお手伝いをしています。現場にどっぷり浸かって活動していた経験は、予算書上のそれぞれの費目のお金が、現場でどのように使われ、どのような効果をもたらすのかといったイメージを掴む上でとても役に立っています。また、NGO能力強化事業も実施しています。日本のNGOの支援の質を高めるべく、日本の支援業界へ人道支援の国際基準を普及することに積極的に携わっています。国際基準の内容や普及の必要性を理解する上では、やはり現場での経験が非常に役立っています。

つい先日、米国の大手NGOであるMercy Corpsが開催する安全管理/対策研修を受講する機会がありました。オレゴン州にあるMercy Corpsのグローバル 本社を訪問して、まずその規模の大きさに驚きました。そして研修の中身の濃さに衝撃を受けました。世界で活躍する国際NGOと比較すると、日本のNGOはまだまだ未熟な部分が少なくないことは否めません。開発や人道支援分野の基準や仕様の多くは、国連を初めとした国際機関や欧米NGOの主導で決められてしまい、日本はそれに追従するしかないのが現状です。JPFに入職してまだ日が浅く、未熟な身ではありますが、これから様々な学びと経験を得て、日本のNGOや日本の緊急人道支援の成長に少しでも役立ち、国際舞台で日本のプレゼンスを高められるよう、精一杯精進していきたいです。