-2004.03.18-
第15回常任委員会議事録

■日時: 平成16年3月18日(17:00〜18:30)
■場所: JPF事務局会議室
■出席: 評議員 外務省:中野 正則(渡邉正人評議員代理)、日本経団連:中村 典夫、三菱財団:石崎  登、学識経験者:中村 安秀、AAR:堀江 良彰、MeRU:深瀬 行正
  評議会アドバイザー 日経新聞:原田 勝広、松下電器:森 信之、前評議会議長:長 有紀枝
  評議会ゲスト 外務省:中島、学生ネットワーク:奥村、PWJ:永野、斉藤、原田、WVJ:池田、JEN:赤堀
  事務局 …黒川・高松・細井・山元
  座長 …石崎 登 氏

I.配布資料
(01)事務局:イラク支援事業に関するNGO会合(メモ)
(02)事務局:イラク関心表明一覧
(03)事務局:イラク向け政府供与資金17億円の追加拠出による事業実施について
(04)事務局:イラク支援事業一覧
(05)中村(安)評議員:「緊急人道支援活動における評価手法セミナー」報告
II.議事
(1)審議・協議事項
1.日本政府より拠出されたイラク支援向けの17億円の取り扱いについて
 政府より拠出された17億円の使途がイラク支援に限定されている点で、その資金提供を受けた場合、イラクでの支援活動が政治的であると見なされる可能性を危惧し、JPFがこの資金提供を受けるべきか否かの観点から議論された。JPFが緊急人道支援組織として常時迅速な活動を展開できる態勢を整えるためには、評議会としても常に活動方針や具体的な実施事業について審議できるようにしておくことが必要であり、そのためには活動資金を確保しておくことが重要である点、また、決定された拠出金額は、事務局を通じて提出された対イラク事業実施希望7団体からの関心表明をもとに外務省が積算した結果である点、さらに、資金供与の可能性については過去の評議会においても議論されてきていることから、政府による一方的な拠出とは必ずしも考えられない点が確認され、JPFが今般のイラク向け追加拠出の資金を活用して、イラク人道支援に取り組んでいくことが確認された。
 しかしながらNGO側としては、純粋に人道援助に携わる団体としての立場を確認の上でイラク支援を行っていくことを改めて確認することが、あらぬ誤解を招かないためにも重要であり、また、延いてはドナーとしての日本国政府の立場をも守ることに繋がるとの考えから、人道援助にかかる行動規範「国際赤十字・赤新月運動及び災害援助を行なうNGOのための行動規範(Code of Conduct)」を柱とするステートメントを作成すべく、準備にあたることが確認された。
2.実際の支援実施について
 現在、イラクにおいて活動を実施している団体に関しては、これまでの基盤を生かしてさらなる事業展開を考え、新規に事業を計画している団体に関しては、イラク国内の治安状況に鑑み、各NGOが個別に調査ミッションを派遣するよりも、事業実施希望団体がまとまって派遣を開始し、必要に応じてその後、個別に現地調査ならびに事業内容の策定を行うことが望ましい旨確認された。ただし、情報提供等を通じて、NGO間で協力して事業を実施することは可能であり、望ましい。
 活動地域に関しては、参加団体が狭い範囲で集中して事業を実施することが、治安の面でもJPF体の活動としてのインパクトの面でも望ましいと言えるが、すでに他国のNGO等が国内で活動を実施しているため、事業の展開可能な地域は点在する状況にあり、現状では参加団体が集中して活動する適切な事業実施地の確保は困難である。一方、活動地域を限定せず、イラク全域を対象として事業を展開する場合、現地にコーディネーション・オフィスを置き、イラク政府等と交渉していくような体制を整えなければ、NGO間のネットワーク構築やコーディネーションが困難である点も懸念される。現地でのNGO間のコーディネーションについては、バグダッドにおいては現在、約80団体のNGOが参加しているコーディネーション・ミーティングがあり、教育分野等、セクター間のミーティングは頻繁にある旨紹介された。
 イラク支援事業を展開していくにあたっては、安全等実施体制の確保にかかる現地情報の把握や、援助コミュニティとの調整、対外渉外等に対応していくための膨大な業務が見込まれることから、事務局対応能力の強化についても検討していく必要が指摘された。
 政府供与資金については、平成15年度の補正予算のため、可能な限り早期に着手 し、実施期間も数年に渡るものではなく、平成16年末までに終了できる事業計画が望ましい旨、外務省より要望があった。
3.治安上の問題について
 現在、政府供与資金により助成され、実施されている対イラク事業に関しては、 「安全5原則」(付記1)の遵守が求められており、現在、国連の国際職員が活動を行っていない地域においては日本人職員の現地入りが認められていない。この度の補正予算によるイラク事業実施においても、外務省よりこのガイドラインを適用する旨要請があるが、NGO側としては、調査ミッションを派遣するにあたって、日本人職員が現地に入り調査を実施することが適切な事業計画策定において不可欠であり、また事業実施における士気の面からも日本人職員のプレゼンスが重要であるとの考えから、外務省に対し「安全5原則」の弾力的運用についての検討を要請した。
(付記1)
「安全5原則」
(1)  紛争地域における緊急人道支援活動の実績のあるNGOが、経験を有するスタッフのみによって行うこと。
(2)  当該地域において国際人道機関の国際職員が活動しており、当該NGOが国際人道機関と密接な協力体制下にあること。
(3)  治安情勢が悪化した場合に備え、撤退計画を事前に作成し、外務省に提出すること。
(4)  在外公館(外国にある外務省の出先機関。大使館・公使館・総領事館・領事館・国際連合日本政府代表部などの総称))、本省との連絡体制を構築するとともに、常時通信可能な体制を維持し、必ず毎日最低1回は連絡を入れること。
(5)  活動に伴う危険を十分に認識した上で、NGO自らのリスクで活動を行うものであることを再確認すること。

以上

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