[2]調査結果
〈2〉現地調査NGOの活動状況
難民を助ける会-AAR-BHNテレコム支援協議会ピースウィンズ・ジャパン-PWJ-
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン-SCJ-JEN日本医療救援機構-MeRU-

 〈6〉日本医療救援機 -MeRU-
  ◆団体名: 特定非営利活動法人 日本医療救援機構 MeRU
◆プロジェクト:ザリシャリフ国内避難民を対象とする母子医療活動
◆期間:2001年12月01日〜2002年02月28日
◆地域:アフガニスタン北部 マザリシャリフ
◆現地インタビュー:東秀樹MR(アフガニスタン事業統括責任者)、須田将MR(アフガニスタン所長)、小郷真紀MS(助産士)、井口美和MS(薬剤師)
◆事業パートナー:アフガニスタン暫定政権 保健省

◆プロジェクト概要
 女性1,000人あたり17人が出産中、または直後に死亡するという高い妊産婦死亡率、また、15.1%という高い乳児(1才未満)死亡率を改善するため、助産院を開設。マザリシャリフ周辺の国内避難民を対象に母子医療を行い、同時にアフガニスタン人の産婆さんに対する教育を実施。
◆プロジェクト実施状況
a)助産院
 マザリシャリフ市内に助産院を開設し、国内避難民を対象に母子医療を行なっている。マザリシャリフ周辺には大小数多く避難民キャンプが点在しているが、その内、Khorasan 1(約32,000名)、Kamarbandi Balkh(約3,000名)に1日数回車輌を巡回させ、対象となる女性を助産院まで搬送している。1月29日の開設以来、1日平均11名の妊産婦が診療を受け、5名の新生児が誕生した。
 日本から派遣された助産士とパートナーである暫定政権・保健省から派遣されている助産士が共同で診療にあたり、OJTの機会ともなっている。
 夜間キャンプ内での急な出産に備え、妊産婦にはUNICEF提供の分娩キット(ガーゼ、かみそり、糸、ビニールシート等)が配布され、使用方法が説明されている。その他の薬品については、ウズベキスタンを経由して調達されている。また、助産院で使用する水については浄化をMeRU独自で行なっている。
b)助産士教育
 地元のTraditional Brith Attendant、いわゆる産婆さんに対する研修を日本人助産士が行なっている。助産院訪問当日、研修も見学することができたが、イラストや人形を使った胎児の成長の過程やへその緒の切り方などの説明に、参加していた産婆さん13名も熱心に見入っていた。
◆考察
a)今回視察したNGOのほとんどがパキスタン経由で物資を調達していたが、MeRUはタシケントにも事務所を設置し、ウズベキスタンより物資を調達していた。UNOCHAに団体名、個人名等を登録すると人道支援物資は現在フリーパスでアフガニスタンに輸入することができ、物資調達面での問題は少ないとのことであった。
b)アフガニスタン北部は暫定政権樹立後も政治的対立のため、治安面の不安が残る地域といえるが、MeRUは避難計画や緊急時の対応など安全対策の詳細なマニュアルを作成し、月一回定期的に職員にも周知徹底を図るなど、安全対策が非常にしっかりとられていた。これは東統括責任者のアフリカ等での豊富な経験に拠るところが大きい。
c)暫定政権・保健省との良好な関係により、医療者の派遣を受けることができていた。また、今後予定されている村落部への巡回医療については、村のリーダーとの信頼関係構築だけでなく、巡回する村の政治的背景についてもそのバランスに注意を払っているとのことであった。
◆ジャパン・プラットフォームとの関係
 MeRUの活動は医療分野という専門性の高いものであるがロジ面でも緊急、紛争の状況に対応したものとなっている。高価な医療器具の調達ならびにロジ面での立上にジャパン・プラットフォームの資金が活かされており、今後の地域での活動ノウハウも蓄積されている。
ジャパン・プラットフォーム資金を利用し、組織のキャパシティ・ビルディングを図っている例といえる。
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