JCCP
The Japan Center for Conflict Prevention


緊急支援事業計画書


緊急支援事業計画書

申請年月日 2005年8月10日 申請番号 2005−08
プロジェクト名 スマトラ島沖地震対応
実施事業名 トリンコマレー県復旧支援事業(第四期)
実施団体名 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター (以下、JCCPと略)
事業対象地状況 トリンコマレー県
【個別事業地毎被災者総数】

死者計33名
(Salli村18、Vellaimannal村12、Nelsonpura & Railwayline村1、Periyaththumunai村2)
負傷者計166名
(Salli村100、Vellaimannal村1、Samudragama村4、Nelsonpura & Railwayline村4、Periyaththumunai村57)
避難家族計1725家族
(Salli村625、Vellaimannal村179、Samudragama村298、Nelsonpura & Railwayline村151、Periyaththumunai村472)
避難者数計7628名
(Salli村2680、Vellaimannal村820、Samudragama村1159、Nelsonpura & Railwayline村523、Periyaththumunai村2446)

事業概要
  1. 第一期緊急支援事業(トリンコマレー環境整備事業第一期)
    スマトラ島沖地震による津波により甚大な被害を受けたスリランカ東部トリンコマレー県の4ヶ村(Salli村、Samudragama村、Vellaimannal村、Nachikuda村)において、当センターは、現地NGOセワランカ財団、トリンコマレー県Government Agent (GA)、UNHCR等の協力を得て、緊急支援(第一期)を実施した。

  2. 第二期緊急支援事業(トリンコマレー環境整備事業第二期)
    緊急支援(第二期)において、我が国緊急支援のプレゼンスが著しく不足している東部トリンコマレー県にて、第一期対象村の内3ヶ村(Salli村、Samudragama村、Vellaimannal村。Nachikuda村については支援完了)にて継続支援を行うとともに、トリンコマレー県Town and Gravets Division(郡)およびKiniya Division(郡)において被害の度合いが大きく、かつ未だ援助が行き届いていない小村落3ヶ村(Nelsonpura村、Railwayline村、Periyaththumunai村)を加えた、トリンコマレー県6ヶ村を対象とし、それぞれの村落でのニーズに応じ、(1)避難用簡易シェルターの設置、(2)住宅修理、(3)共同トイレ及び戸別トイレの修理、(4)基礎生活用品・衣類の配布を行うと共に、(5)給水設備(貯水タンク)設置、(6)村内接続道路の補修、(7)仮設避難所兼公民館の設置を併行整備する総合的緊急支援を実施した。

  3. トリンコマレー県・アンパラ県復旧事業
    当センターの第三期復旧事業では、緊急支援第二期事業の対象となっているトリンコマレー県5ヶ村(Salli村、Samudragama村、Vellaimannal村、Sandycove村、Periyaththumunai村)において、復旧・復興へ向けた初期ニーズに対応すべく、(1)漁船ボート・船外機・魚網類の支給(漁業協働組合経由) (2)裁縫職業訓練コースの開設、(3)村内協働促進訓練コースの開設、を行った。また、新たに当センター支援対象地域として、アンパラ県5ヶ村(Neelawanai村、Natpitimunai村、Al-Ameen村、Sainthamaruthu村、Makkamadi村)を追加し、現地NGO農民開発財団、アンマラ県Government Agent (GA)、UNHCR等の協力を得て、復旧・復興へ向けた初期ニーズ、とりわけ、コミュニティ全般の就業・世帯収入機会の再生を促進すべく、(1)漁船ボート・船外機・魚網類の支給(漁業協働組合経由)、(2)伝統機織産業の再生支援、(3)左官・石工職再開支援、(4)大工職再生支援、(5)脱穀機の支給、(6)移動商店職の再生支援を行った。

  4. 第四期緊急支援事業
    本事業は第一期から第三期まで緊急支援事業が実施されたトリンコマレー県においてこれまでの成果を補強すべく、仮設シェルター、井戸、道路修復等の津波災害復興のインフラストラクチャー整備に加え、職業訓練、村内協働促進研修、収入機会向上支援等の支援を効果的に関連づけることにより、津波被災者の自立とコミュニティへの参画を主要な目的としている。第三期事業から実施されている収入機会向上支援は直接裨益者に対し村内協働促進訓練コースを開設することによりレボルビング・ファンド設立に一定の成果を収めている。第四期緊急支援事業ではこうした事例に立ち、津波被災者の収入機会創出を指針とする以下5つの支援を行う。

    1. 地曳網・村内協働促進支援【1,359,270円】
      トリンコマレー県の第一期から第三期までの対象村、Salli村(9漁業組織)、Samudragama村(10漁業組織)、Vellaimanal村(6漁業組織)の漁民169家族を対象に地曳網支援を行う。また、各漁業組織の指導者層や組合に対して2日間の研修を行う。指導者層に対しては基金の運営や組織会計の技術等の研修が組まれ、組合員に対しては地曳網を使った漁法の利点や分配法を見直し、さらに環境に配慮した漁法と組織基金の目的や運営法を伝える。津波被災漁村は1月から3月までを通して漁獲のない月が続いた。コミュニティの経済的打撃は大きく現在では海産物の市場価格が上昇しているにもかかわらず、漁具を失った津波被災漁民は漁業の経済活動から孤立している。地曳網支援は津波被災により漁具を失った漁民家族に対し収入源へのアクセスを図る。津波被災前からすでに同地域にある集団漁法を再導入する一方で、乱獲予防や環境に配慮した漁法を漁村・村内協働促進研修を通して紹介する。地曳網による漁獲は通常大規模市場を経由せず、地元の自転車移動店舗から小売されるところから、津波被災民の従事者が多い自転車を利用した小規模ビジネスを活性化するものと期待されている。

    2. ミシン・裁縫職支援【559,830円】
      第三期事業にてPeriyathuthumunai村で実施されているミシン・裁縫職のための職業訓練コース参加者30名を対象とする収入機会向上のための物資支援を行う。収入を得るための最低限の物資を支給することにより、家庭収入源を拡大することが期待されている。参加者全員が女性であることから、本プロジェクトは女性の収入機会へのアクセスを開くとともに、女性組織協働促進へ向けた基金創設を目指したコミュニティ支援の役割を担っている。

    3. 女性組織協働促進研修【707,168円】
      第三期事業ですでに実施されている、村内協働促進訓練コースにて女性組織の貯蓄グループCBOユニットをさらに発展するための研修コースである。漁村・村内協働促進研修が実施されるSalli村、Samudragama村、およびVellaimanal村のキャンプコミュニティ(Samudragama村住民はSumedankarapra)に対し2日間研修を1回、3日間研修を4回行う。津波被災から7ヶ月を経てキャンプ被災者はINGO等からの収入機会向上のための物資支援を受けている者も少なくはない。しかし、キャンプ生活により収入機会に直ちに望むことが困難な家族に対し、3人から4人で構成する貯蓄グループを形成することにより収入への意欲を図るとともに、家族の自立とコミュニティの経済活動への参画を目的としている。

    4. コミュニティセンター配電【57,090円】
      第三期事業で対象となっているSalli村Pillayarkovileに設置されたコミュニティセンターへの配電を施し、漁村・村内協働促進研修の拠点とする。村内協働促進研修の後はGNの管理の下公共の建物として漁村に開かれる。

    【最終裨益者見込数:5,880人(63.23人/日×93日(事業実施期間))】
事業期間 2005年8月21日〜2005年11月20日(93日間)
裨益者計

5,880人

事業内容 地域名 計画数値 裨益者 事業費
Salli村
(Tamil)
地曳網・村内協働促進支援(Samudragama村, Vellaimanal村と共同) 53家族 438,414円
女性組織共同促進研修 257,152円
コミュニティセンター配電 625家族(3,125人) 57,090円
Samudragama村
(Sinhala)
地引網・村内協働促進支援(Salli村、Vellaim村と共同) 79家族(395人) 617,755円
Sumedankarapra キャンプ 女性組織協働促進研修 30家族(150人) 257,152円
Vellaimannal村
(Muslim)
地引網・村内協働促進支援(Salli村、Samudragama村と共同) 37家族(185人) 303,101円
女性組織共同促進研修 21家族(105人) 192,864円
Periyaththumunai村
(Muslim)
ミシン・裁縫職支援 30家族(150人) 559,830円
合計 61,074,547円
執行体制状況 1.現地体制(JCCP)

当センター(JCCP)本部理事・所長の監督の下、本部担当者1名が本事業を担当、総務・経理、各種渉外を担当する。
本部の監督の下、JCCPスリランカ代表事務所代表菅谷渡(バブニア・コロンボオフィス駐在)の指揮下、国際スタッフ(日本人)2名(内1名はアンパラ事業兼任)が本事業に従事する。
国際スタッフ1名はプロジェクト総括としてアンパラ事業と兼任、1名はコーディネーション担当でトリンコマレー市を拠点として活動する。事業拠点事務所は、セワランカ財団・トリンコマレーオフィス内(緊急支援第二期・三期兼用)に設置する。ローカルスタッフはセワランカ財団ローカルスタッフ6名とする。

2.関係団体との協力(セワランカ財団・トリンコマレー県Government Agent、CHA、UNHCR、UNICEF)

2000年8月のJCCPスリランカ代表事務所開設以来、協力関係にある現地NGOセワランカ財団と提携する。セワランカ財団は地元行政当局との連携、物資調達、住民への協力要請を担当(ローカルスタッフ6名)する。
また、現地行政機関であるトリンコマレー県Government Agent(GA)、District Secretary(DS)から施設建設場所、物資配布の調整等に対して協力を得る。トリンコマレー県GA、UNHCR、その他INGO及び当センターが加盟するCHA: Consortium of Humanitarian Agencies)により組織される各種コーディネーション機構に参画しつつ、他団体の事業との重複を避けるため調整、協力を得るとともに、情報交換を行う(第一期から第三期緊急支援事業にてネットワーク構築済み)。

3.個別事業体制

当センタースリランカ代表菅谷渡の指揮下、国際スタッフ1名が本プロジェクトの総括、1名がプロジェクトコーディネーションを行う。
セワランカ財団ローカルスタッフ6名は支援対象各村に1名ずつ配置し、各村での実施プログラム監督、各種調整業務を行う。

    人役計 従事業務 事業費(人件費)
本部人役(東京) 0.3人役 経理・総務 252,000円
現地人役計 6人役 8,874,000円
  国際スタッフ人役 2人役 プロジェクト総括、アドミニ・経理担当 558,000円
現地雇用人役 6人役 村別プロジェクト担当4名、国際スタッフ補佐2名 329,400円
合   計 1,139,400円
国外連携先 団体名称 連携状況
  NGO セワランカ財団 物資調達及び各村での住民への協力要請、事業監督、調整等
NGO CHA 支援活動情報の登録公開、INGO間の情報交換と調整、活動指針の策定
現地行政府 トリンコマレー県Government Agent (GA)District Secretary (DS)Task Force 事業実施地の届出と登録
UN-System・INGO間の調整
国際機関 UNICEF 避難民キャンプマネジメントに関する助言、調整
総事業費(詳細設計は別紙) 5,157,648円 財源状況(自己財源:152,040円、JPF財源:5,005,608円)
事業スケジュール
プロジェクト 8月 9月 10月 11月
(1)魚網・村内協働促進支援 漁村調査
村落調査・キャンプアセスメント
発注・納品
研修
収入調査
研修
研修・モニタリング
(2)ミシン・裁縫職支援 職業訓練 物資支援 収入調査 モニタリング
(3)女性組織協働促進研修 村落調査・キャンプアセスメント 研修 研修 モニタリング
(4)コミュニティセンター配電 配電 配電・完成 GNに引渡し モニタリング