「もっと勉強して社会の役に立ちたい」
ミャンマー避難民の子どもたちが語る夢
~JPFミャンマー避難民人道支援の現場から~

学習に励む子どもたち ©PLAN

対岸に見えるのは故郷

ミャンマー避難民キャンプがあるのは、バングラデシュ南東部のコックスバザール県。同県の中心部から車で1~3時間さらに南に移動した半島の先端です。

細長い半島から東の海に目を向けると、対岸に見えるのは故郷・ミャンマーの山々。

ミャンマーからバングラデシュへ、避難民の大規模な流入が始まったのは2017年。それから5年以上の月日が経過した今も、避難民の帰国の目途はまったく立たっていない状況です。

「自分たちの故郷が目の前にあるのに帰ることのできない、彼らの気持ちを考えると心が痛みます」

そう話すのは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)のミャンマー避難民人道支援プログラムの担当で、2022年10月末にキャンプの現地視察を行ったJPF事業推進部・評価部の井出悦子です。

避難民キャンプがある半島からの景色。対岸に見えるのはミャンマーの山々 ©JPF
避難民キャンプがある半島からの景色。
対岸に見えるのはミャンマーの山々 ©JPF
避難民キャンプを訪問中のJPF井出(写真中央の黄緑のビブス)©World Vision
避難民キャンプを訪問中のJPF井出
(写真中央の黄緑のビブス)©World Vision

ミャンマー避難民の苦難

ミャンマー・ラカイン州に住むイスラム系少数民族のミャンマー避難民は、1990年代から長年にわたる迫害・差別により、バングラデシュへの避難を強いられてきました。「ロヒンギャ」と名乗ること自体を否定され、人間としての尊厳・基本的人権を奪われるという悲惨な状況が今日まで続いています。

2017年、ロヒンギャ武装勢力によるミャンマー警察・軍関連施設の襲撃が発生し、その後、国軍によって史上最悪と言われる掃討作戦が行われました。これにより過去最多ともいわれる人々がバングラデシュへの非難を余儀なくされました。さらには2021年2月のミャンマー国内の政変により、避難生活が長期化しています。

JPFは2017年より支援を開始し、これまでに総額23億3千万円、12団体による46事業を実施して支援にあたってきました。2022年11月現在、以下の7団体が支援を実施しています。

  • AAR Japan[難民を助ける会](AAR)
  • アイビー(IVY)
  • 日本インターナショナル・サポート・プログラム(JISP)
  • プラン・インターナショナル(PLAN)
  • ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)
  • セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)
  • ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)


※ JPFでは民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、ミャンマーからバングラデシュに避難・強制移住させられた人々を
「ロヒンギャ」ではなく「ミャンマー避難民」または「避難民」と表現します。

避難民キャンプ生活の実態

隣国バングラデシュに避難した人々は、2022年10月時点で約94万人、その多くがコックスバザール県のウキヤ郡とテクナフ郡にある33のキャンプや居住地で暮らしています。

※ OCHA, Rohingya Refugee Crisis

しかし、多くの人々がわずか十数平方キロメートルの土地に60万人以上が居住という過密で劣悪な環境での暮らしを強いられています。耐久性の低い住居に住んでいる人や、洪水や土砂崩れのリスクを伴う地域に住んでいる人も数多くいます。また、安全な水やトイレなどの衛生設備も十分に整っていません。

食料はWFP(世界食糧計画)よりEバウチャーというクーポンが渡され、キャンプ内にある市場で肉・魚・野菜や米・油・砂糖・塩などを購入することができます。ただ、バウチャーで手に入れられる食料だけでは足りず、人々は慢性的な健康リスクにもさらされています。

  • テクナフキャンプの街並み ©AAR Japanテクナフキャンプの街並み ©AAR Japan
  • 密集する住居 ©JPF密集する住居 ©JPF
  • 耐久性の低い住居 ©JPF耐久性の低い住居 ©JPF
  • 住居の内観 ©Save the Children住居の内観 ©Save the Children
  • キャンプ内でスナックを売る避難民の男性 ©PLANキャンプ内でスナックを売る避難民の男性 ©PLAN
  • インフラが未整備のエリア ©ピースウィンズ・ジャパインフラが未整備のエリア ©ピースウィンズ・ジャパ
  • キャンプに張られた有刺鉄線 ©ピースウィンズ・ジャパンキャンプに張られた有刺鉄線 ©ピースウィンズ・ジャパン

日々の生活を通じて
少しでも明日への希望を
持てるように

ミャンマーへの帰国の目途が立たず、仕事を持つことが許されない避難民キャンプでの生活は、希望を見出すことが難しく、ただ時間が過ぎていくのを待つしかないという現実があります。そのような毎日の中で、前向きに生きようとする避難民の人々がいます。

男の子たちは、サッカーや、棒切れをつかったクリケット(バングラデシュではクリケットが人気)、もしラケットがあればバドミントンなどで元気に遊んでいます。女の子は歌を歌ったり、色鉛筆でお絵描きをしたり、その他、紙で上手に立体的なお花を作るなどの工作を楽しんでいます。

また、SCJが実施している子ども向けの衛生啓発セッションでは、歌やゲーム、演劇を通じて楽しく学べる工夫がされており、子どもたちが大好きなプログラムの一つになっています。

最近ではキャンプ内の学校も徐々に開始され、制服姿の子どもたちを目にすることも増えてきました。

歌いながら手洗いの練習をする少女 ©JPF

NGOスタッフインタビュー①

(7分17秒)

SCJ 海外事業部 田部井 梢 さん

2018年からミャンマー避難民支援に取り組むSCJ。現在(2022年10月時点)は、命に直結する水、トイレ、水浴び場の維持管理といった水・衛生支援のほか、避難民の方が暮らす家(シェルター)を建てる支援を行っています。

SCJ海外事業部の田部井さんに支援活動や子どもたちのことについて伺いました。4分45秒ごろの映像には子どもたちがサッカーをして遊ぶ様子も映っています。

学習センターの開設

学習センターでの識字教育 ©PLAN
学習センターでの識字教育 ©PLAN

PLANが支援する学習センターでは、若者を対象として、識字教育などが行われています。学習内容はアルファベット(英語)による読み書き、計算、その他裁縫やリーダーシップスキルなどです。

また、この場所は学習するだけでなく、女子生徒にとって安心して自分の気持ちや考えを伝え、笑い合い、ときには悩みを打ち明けることができる場所になっています。

夢をもって生きる子どもたち

「帰国の目途が立たない中、ミャンマー避難民支援は、状況が改善されたとは言えないながらも、なんとか今の状況をキープしているというのが現状です。そんな状況の中でも、未来に向かって前に進もうとする子どもたちを見て、なんとしても支援を続けていかなければという思いで胸が熱くなりました」。(2022年10月に現地視察を行ったJPF井出)

キャンプで子どもたちは、目を輝かせながら、将来の夢を教えてくれました。

夢をもって生きる子どもたち

夢をもって生きる子どもたち ©PLAN

将来の夢は学校の先生になることです。
もっと勉強して、社会の役に立ちたい!
お医者さんになりたい。
このセンターが大好きなので、
このままずっとJPF事業を
続けてほしいです。

年々、ミャンマー避難民支援プログラムの資金が縮小してきています。
ミャンマー避難民、子どもたち、女性たち、ホストコミュニティのため、
皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。

関連セミナー

JPFは、2022年11月16日(水)、オンライン・セミナー「もっと知ろう!ミャンマー避難民~バングラデシュに逃れたミャンマー避難民の避難民キャンプでの暮らしの現状と課題~」を開催し、100名以上の方にご参加いただきました。

本セミナーでは「避難民キャンプでの暮らしの現状と課題」に焦点を当て、先行きの見えない中で避難民がどのような生活を送っているのか、5年間の活動を通じて見えてきた課題はどのようなことかを、現地で活動を続ける加盟NGOスタッフおよびJPFスタッフからお話させていただきました。また、参加者の皆さまからのご質問にもお答えし、困難な状況にある避難民の現状について皆さまとともに考える内容となっています。ぜひ、ご視聴ください!

ミャンマー避難民、子どもたち、女性たち、ホストコミュニティ―のため、皆さまのご支援を。

ミャンマー避難民、子どもたち、女性たち、
ホストコミュニティのため、皆さまのご支援を。

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