南部アフリカ緊急農業復興支援

本支援活動は終了しました。寄付などによる
ご支援をいただき、ありがとうございました。

プログラム概要

南部アフリカ緊急農業復興支援について

調査の概要

①モニタリング概要

対象

ジャパン・プラットフォーム2002年度政府供与資金による最初の支援事業であるザンビア緊急食糧復興援助事業につき事業活動中に現地モニタリングを行う。

内容

今回のザンビア緊急食糧復興援助事業についてはジャパン・プラットフォームのアフリカにおける初事業であり、かつ経済問題、HIV問題をかかえた地域における緩やかな緊急状態に対する初事業である。今回の事業もJPF参加2団体と現地パートナーとの密接な協力におこなわれる事業である。よって以下の観点に着目しモニタリングを実施した。

[1]裨益者に対する効果 特に地元農業やコミュニティとの関係

[2]緩やかな緊急状態、複雑な既存要因と緊急支援事業の関係

[3]実施団体の事業運営状況

[4]実施団体の連携体制

②調査員

[1]ジャパン・プラットフォーム事務局:白壁 東子

[2]ジャパン・プラットフォーム事務局:細井 ユカ

[3]農業専門調査員:浅川 茂樹

③調査日程(2002年)

調査結果

①実施機関名、事業実施地区名及び配布対象世帯数

本事業の実施機関名、事業実施地区名及び配布対象世帯数は下表のとおりである。本調査は、西部州2県を除く南部州2県計4地区で実施した。

②配布資材
本事業の配布資材は下表のとおりであり、これら資材を1セットとして1世帯へ配布する。

各種子の主な特性は、耐乾性のある早生種で、旱魃被害を受け易い同地域に適合したものであるといえる。肥料については、各肥料共に「ザ」国で一般的(特にメイズ栽培)に使用されている化成肥料であり、D-COMPOUND は元肥として、UREAは追肥として使用される。

③調査内容

(1) 各地区の最終配布ポイントでの資材(肥料、種子)配布状況の視察

(2) 現地配布調整協力者等への聞き取り調査

(3) 受益者へのインタビューによるアンケート調査

(4) 受益者所有農地の視察

④調査日程及び調査実施地
5.受益者へのインタビューによるアンケート調査分析

本調査は事前にアンケート用紙を作成し、その内容項目に沿って受益者へインタビューし、アンケート用紙に記載する方法で実施した。アンケートのサンプル及び、アンケートをまとめたものについては別ページ参照。

[⑤-1]受益者へのインタビューによるアンケート調査分析
(1)所有農地面積及び耕作地面積

各世帯の所有農地面積は0.5ha ~24haと格差があり、平均農地面積は5.5haであった。また、実際に耕作している面積は0.25ha ~8haで、平均耕作地面積は約3haであった。これは「ザ」国の小規模農家の標準耕作地面積(5ha未満)の範囲内にあたる。メイズの作付面積は、大雨による洪水被害のあった2000-2001年のシーズンが平均1.4haで、旱魃の被害を受けた2001-2002年のシーズンが平均1.3haであったが、普段の年は平均2.6haであることから、2年連続した異常気象の影響により、種子と肥料の調達が困難なものとなり、作付面積を縮小せざるを得なかったことが窺われる。

(2)作付け形態

作物の作付け形態は、主食のメイズは全12世帯が栽培しており、その他に落花生、豆類(ササゲ、インゲン)、ソルガム、サツマイモを食用作物として、綿花、大豆、ヒマワリを換金用作物として栽培している。特に綿花を栽培している世帯は、綿生産会社との契約により所有農地で栽培し、現金収入を得ている。換金作物を除く食用作物は、余剰生産があれば販売や物々交換を行う年もあるようだが、基本的には自給食糧としての栽培である。播種時期は雨天栽培であることから、雨季の始まる11月~12月に集中している。

(3)メイズの施肥と収量

メイズ栽培は、1haに必要な施肥量(D-COMPOUND200kg、UREA200kg)を施した場合、標準平均収量は3.5~3.7tである。しかしながら12世帯の内、通常の年は無施肥栽培を実施している農家が9世帯も存在し、1ha当たり平均が1.5t以内と低収量なのに対し、施肥栽培をしている世帯は1ha当たり平均3.2tの収量をあげている。但し「ザ」国では、本事業対象地区を含む小規模農家の殆どが、無施肥栽培若しくは必要施肥量以下で栽培を行っている現状にある。

(4)穀物倉庫在庫量

調査した受益者12世帯は、1世帯を除き穀物倉庫を所有していたが、在庫は全く無しという状況であった。現在彼らは、援助による食糧、飼育家畜(肉や卵)、木の実やブッシュミート(野鼠等)等を採取狩猟した物を食し、飢えを凌いでいるとのことであった。現地配布調整協力者からの情報によると、受益者を含む農民の90%以上が穀物の在庫は無いとのことであった。

(5)家畜

12世帯の内、11世帯が家畜を飼育していた。現地配布調整協力者からの情報によると、各地域の農民の殆どが何らかの家畜を飼育しており、食用目的以外に、販売や物々交換するなどをして現金、資材等を入手する貴重な財産になっているということであった。

[⑤-2]受益者所有農地の視察

各地区による受益者へのインタビュー終了時に、受益者所有の農地視察を行った。10月下旬の降雨の後メイズの播種を終え本葉が6~7枚まで生長している農地、既に元肥となるD-COMPOUNDの施肥とメイズの播種を終え次回の降雨を待っている農地、耕起中の農地、耕起を終え施肥中の農地、耕起を終えて元肥を施肥し次回の降雨に合わせてメイズの播種を待っている農地などを視察することができた。特記すべき点としては、各地区の農地でConservation Farming(※CF)が実施されていたことである。CFは、旱魃被害の受け易い地域において持続的農業を営む農法とされ、農業省が推薦している。WVZでも数年前からCF農法の普及を実施しており本事業対象地区においても配布種子(特にメイズ)に関しては、CF農法での準備をするよう指導していた結果、受益者を含む地域農民まで広まったものと考えられる。

※CF:1996年から開始された農法で、多収が望めるとのこと。基本的には前作の残渣(収穫後の茎や葉)を農地の3割以上被覆するよう残し、農地を全面耕起しないで、一定の間隔で播種溝(ポットホーリング)を鍬で掘り、播種溝底に元肥を施し土で被覆し、降雨により充分土が湿ったのを確認後播種する農法である。

⑥評価・提言

本事業は、JPFが外務省を通して1.2億円の資金を投入し、WVZと「ザ」国で活動実績のあるAAR及びWVJが共同体制のもとに実施している。その内容は、昨年一昨年と2年連続して起こった異常気象(特に昨年起こった旱魃)の影響により資材(種子と肥料)を失った小規模農民(受益者)に対して、今年の栽培シーズン用の資材を11月から始まる雨季の開始までに「ザ」国内で調達し配布するというものである。その目的は、受益者が配布資材を使用して栽培を再開して、食糧確保や来シーズン用の資材購入するなど、従来の農業サイクルへの復興を図るものである。

評価としては、一部の資材の調達配布が遅延していることを除けば、資材の紛失や間違った資材の調達等もなく、実際に受益者へ配布されていることが確認できたことから、概ね良好に進行しているといえる。 資材の調達配布が遅延していることに関しては、「[6-2]受益者所有農地視察」で報告しているが、日本からの援助資金送金の到着が遅れたことを除けば、「ザ」国の国内事情に起因するところが大きいといえる。それは「ザ」国に限らず市場経済化が発展途上の国々にも該当するが、資材や物資の国内調達が必ずしも計画どおりに進行しないのが一般的である。また流通運搬に関しても、インフラ面(道路、通信等)が未整備であり、約束された期間内での運搬は困難なものとなる。

また運搬数量の間違い、配布計画数量の間違いや訓練不足等の報告もあったが、こういった内部事情は、あらゆる事業を実施する上で発生するものであり、現在は至急なる調整と改善を実施し対応している。

今シーズンは10月下旬に最初の降雨があったあと、調査団が「ザ」国を発つ11月24日まで降雨がない状況であったが、従来「ザ」国では11月から雨季が始まる。従って、10月中には資材の配布を完了させるのが最善であると思われる。本事業は緊急援助であることから、来年も継続して実施されるとは限らない。もし、「ザ」国もしくは他国で同様な事業を実施する場合は、今回の教訓を生かして、事業を開始する時期を早めるなど、期間内での調達配布の完了を目指すことが重要であろう。

なお、調査団の私見としては、本事業の効果を評価するという意味では、収穫後のモニタリング調査を実施することが重要と考える。そこで、効率良く制度の高い調査とするために、少なくとも以下の項目について受益者からの情報を入手する必要があろう。情報は、本事業の対象受益者18,000世帯全てから入手するのではなく、各地区に点在する最終配布ポイントの責任者から最低10名の受益者を選出してもらい、アンケートをとるという方法等が考えられる。入手した情報は、調査団が「ザ」国を訪問する前に日本へ送付しておくことが重要となる。送付された情報は、日本での分析が可能となり「ザ」国訪問時の調査項目内容が明らかにできるからである。参考にして頂きたい。

受領した作物種子4種の播種日と播種量
(1)所有農地面積及び耕作地面積

各世帯の所有農地面積は0.5ha ~24haと格差があり、平均農地面積は5.5haであった。また、実際に耕作している面積は0.25ha ~8haで、平均耕作地面積は約3haであった。これは「ザ」国の小規模農家の標準耕作地面積(5ha未満)の範囲内にあたる。メイズの作付面積は、大雨による洪水被害のあった2000-2001年のシーズンが平均1.4haで、旱魃の被害を受けた2001-2002年のシーズンが平均1.3haであったが、普段の年は平均2.6haであることから、2年連続した異常気象の影響により、種子と肥料の調達が困難なものとなり、作付面積を縮小せざるを得なかったことが窺われる。

[1]受領した肥料2種の施肥時期と施肥量

[2]収穫実施期間

[3]収穫量(収穫がなかった場合はその理由)

[4]その他問題点

資料

地図

[1]ザンビアの場所

[2]ザンビア国内詳細

アンケート

[1]南部州 カロモ県 トゥワチヤンダ地区

[2]南部州 カロモ県 シアチテマ地区

[3]南部州 マザブカ県 マゴエ地区

[4]南部州 マザブカ県 チブナ地区

    
  
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