2015年11月16日開催 福島緊急アピール -今起きていること・できること-

イベント
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おかげさまで盛況のうち終了いたしました。
ご参加いただいた皆さま、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

イベントレポート

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2015年11月16日(月)16:30から、ルポール麹町3階「マーブル&エメラルドの間」にて開催されたJPF主催の「福島シンポジウム 福島緊急アピール -今起きていること・できることー」は、参加者113名(関係者を除く)、内企業58社、加盟/NPO 36団体のご参加を得て、成功裡に終了することができました。

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現在、福島の抱える特殊性と支援の必要性の声を聞き、福島県の被災状況に知見を有する識者によるパネルディスカッションを通じて、どの様な対応策が考えられるのか、何に取組んでいくべきなのかの考察を参考に、参加者の皆様に、福島支援の継続の必要性を理解し、自らできる支援の形を考える一助としていただきました。

ビデオメッセージによる緊急アピール『福島が今抱えている課題』(16:40~17:30)

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JPFが福島で連携し情報交換している団体から特に特定の課題意識を持った当事者団体、支援団体に直接インタビューした内容を基にJPF国内事業部が編集したものです。

「子どもと放射能」

全域で除染作業を進めているものの、避難指示解除区域を含め、いまだ高線量な場所が
点在しており、子どもたちはいまだ戸外で遊ばない。

「困難に向き合っている親と子」

助け合っていた地域や家族との繋がりが崩れ、それぞれが、ばらばらな場所で散り散り
に生活している。特に、子どもへの放射線の影響を心配して県外での避難生活を続けて
いる母親は、家族のなかで孤立しているケースが多々みられる。

「地域福祉制度から漏れている人々」

高齢者や障がい者など、公的な医療や福祉制度の支援が届いていない人がいる

「コミュニティの断絶」

避難先自治体住民と避難者、強制避難者と自主避難者など様々な立場の人が同じ地域に
住むことより、問題が生じている。

「県外避難者の葛藤」

戻って大丈夫なのか?避難先で築いた生活を再び変えられるのか?これからどこでどう生きるのか?翻弄され続けている人がいる。

「帰還に向けた課題」

完全帰還まで、二ヶ所の家を往復しながら、ビジネスの再興や生きがいとなるものを作り出す準備をしている。

「コミュニティの再構築」

コミュニティが突然壊れてしまうということがどれほど大変なことか。故郷の繋がりを保ち、故郷を次世代に残そうと奮闘している人がいる。

上映後JPF福島担当からは、「災害公営住宅への移転に伴う問題」「子どもの健康」「親子特に母子で避難生活を続ける負担」「故郷のコミュニティとの断絶、避難先のコミュニティとの軋轢」「核家族となった高齢者の孤独死、震災関連死の増加」という課題があり、さらに深刻化しているとの訴えがありました。また避難指示解除、帰還に向けた取り組みとして「失われた故郷取り戻し次世代に残すこと」、「バラバラになったコミュニティを立て直すこと」等の課題が挙げられました。

パネルディスカッション『これから福島にどの様な支えが必要か』(17:30~18:45)

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3人の専門家から、これまでの福島支援の経験を踏まえ、今、福島の被災者支援において何が求められ、必要とされているのかを発表して頂きました。さらに、ディスカッションを通して、今後私たちは民間として何ができるのかを考察していただきました。

モシニャガ・アンナ氏(国際連合大学サステイナビリティ高等研究所主任研究員)

国際的にみると、複合被災により大規模な人口移動となった福島の原発避難者は、国内避難民の一例と認識することできる。現在の国際法上、「国内避難民」という法的地位は存在しないものの、国連の「国内強制移動に関する指導原則」が存在し、国内避難民の保護ための重要な国際的な枠組みとみなされている。指導原則に法的拘束力はないが、国内避難民に関する支援を行う際の指針となってきた。国連の指導原則は国内避難民が、その避難状況の「恒久的解決」(つまり避難状況の解消)に対して権利を持っていると明記。福島の原発避難者も国内避難民として認識することで、日本でも政府・行政は最小限において避難者に対して:避難元への帰還、避難先での現地統合、違うところへの移住という3つの選択肢を制度上可能にすることが重要になる。
応急仮設住宅や緊急雇用創出事業などの救済策が段階的に撤廃されている状況下で、避難者ひとりひとりにとって帰還・現地統合・移住のいずれかが、持続的な選択肢になるまでは、継続的な状況把握と、避難者自らがそれぞれの状況に応じて暫定的な解決策を見出せるための支援が必要である。また、支援団体は、数字では測れない現場の生の声を行政や人びとに広く伝えていくことが重要だとのことでした。

佐藤滋氏(早稲田大学理工学術院教授、早稲田大学都市・地域研究所所長)


浪江の全町民は、放射能が風にのって北西に流れているという情報が届かず、放射能と一緒に北西に向かってバラバラに避難した。
長期に亘る避難により、無理やりに地域と人が切り離された広域分散避難が固定してしまい、精神的に不健康な状態が持続しているという過酷な状況のなかで、浪江町の人たちが立ち上がり、「NPO新町なみえ」を中心に、バラバラになった避難者をつなぎ、事業再開/雇用の場を提供する仮のまち構想、町外コミュニティ形成を企業、大学が連携しながら実現しようとしている。20年~30年かかるであろう故郷再生活動の要件を整えるためにオンデマンドのバスにより地域を繋ぐ実験をしている。また、家族と一緒に住みたいという希望に応えるために、公営住宅のまわりに民間による住宅を建設することを検討している。ビジョンに向かって動きだしたところであり、本格的始動には資金が必要である。

長有紀枝氏(AAR Japan[難民を助ける会] 理事長/JPF理事)


福島の問題は難民問題そのものである。「難民を助ける会」は発災直後に相馬市で地元の自治会や商工会議所と協力して緊急物資の支援を開始し、以来地元のニーズに応える支援を続けている。時間が経過し、社会全体が多様化しているなかで、「福島」「被災地」「被災者」とひとくくりにすることはできない。
除染作業が進められているが、未だホットスポットといわれる線量の高い場所が各所に存在している。広域で増え続ける放射能汚染物質であるイノシシ被害が拡大しており、各市町村単位での捕獲/処分の対応に限界にきているように、既存の枠組み、行政区域を超えた対応が求められている。
支援活動を通じて、原子力災害への外部支援には限界があり、起きてしまってからできることは限られており、予防するしかないことを学んだ。それでも外部の支援団体ができることがある:「この問題は被災者の責任ではなく、世界的、普遍的問題である、と被災者に伝える」、「当事者故に言えないことを代弁する」、また、「行政区域にとらわれず広域で活動することができる」。

パネルディスカッション(モデレーター:長有紀枝氏)

刻々と変わる状況下で「福島」、「被災地」、「避難者」というくくりにはできない。民間は、行政による支援からもれている人、さまざまな選択肢を決定し新しい生活を始める人、などあらゆる層に、それぞれの民間団体がそれぞれに対しきめ細かい支援をする。また、復興は30年、50年かかるのであるから、短期的成果を求めるのではなく、答えがないままでの長期に亘る支援が求められている。
支援団体は、普段から密に付き合いを重ねて、直接話をして、ニーズを把握することが必要であり、その被災者の生の声を伝えること。中間支援団体は、どのような支援も必要であるが、例えば明確に支援できる、モデルとなる、持続性がある、復興のトップランナーであるなど、団体の大きさにとらわれずに支援してもよいのではないか。スタッフの能力の向上をはかることも重要である。
原発避難者は国内避難民であることを心に刻み、それぞれが提供できる金銭、時間、あるいは能力なりで被災者を長期に支え続けることが重要である。

アンケート結果

  • 福島の避難者は国内避難民であるという解説に納得がいった
  • 行政(官)では支援しきれない部分を丁寧に支援していくことが民間支援
  • 刻々と変化する状況の把握には、支援する側からアプローチをして密な付き合いを重ねていくこと
  • 長期の、そして個々に、あらゆる層に、対応する支援が必要なこと
  • すぐに成果が見えない支援も必要。人びとの声を伝えることが成果となる
  • 夢、希望にむかって進むような、長期にわたって再生を目指す支援をしていく
  • 雇用の場が必要
  • どのような支援も必要だが、例えば明確に支援できるところに明確に支援する、モデルとなるところに支援する、復興のトップランナーを支援すること、持続性のある団体に支援する、こともよい。

特に企業のコメントとして:

(全体として)

  • 今回のような情報発信の場は貴重だった
  • 息の長い支援が必要なことがよくわかった
  • 「コミュニティ支援」「自主避難者への支援」が必要ということに目が開かれた
  • 最大の支援は雇用面での支援ができないかということ。企業が単純な寄付やボランティア派遣にとどまらず、自らの事業計画のなかで福島での新規事業を考えることが求められている
  • 未来を担う子供たちへの福島に関する教育はもちろん、今生きる私たちが共に歩いていくことが支援となる
  • 難民支援に経験豊富な国際NGOに期待したい

(企業として)

  • 企業で技術をもった人のプロボノ支援ができる
  • 会社の特徴を活かした活動
  • 企業による支援は、情報をまず従業員に知らせる⇒支援することについて経営トップの理解を得る⇒寄付について労使で考え増やす⇒自立した形で支援について考える
  • 福島への緊急支援をしたが、継続的支援は問題が複雑すぎて具体的アクションをとることが難しい
  • 金銭的寄付だけでなく、アクションでの支援についての意見が聞きたかった
  • 資金、プロボノ、人的支援も有効だが、ニーズと必要となる支援を見極めが難しい
  • 支援の具体例(問題⇒支援に必要資金、必要な人材)を示していただけるとよかった

シンポジウム後のレセプションにも多数の方にお残り頂き、なごやかな雰囲気のうちに、懇親、交流、情報交換が活発に行われました。

イベント概要

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東日本大震災の発災以降、ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、東北被災県(岩手・宮城・福島)に常駐スタッフを置き、JPF加盟NGO及び「共に生きる」ファンドの助成事業を通じて、支援活動を進めてまいりました。これまでの皆さまの温かいご支援に、JPFスタッフ一同、改めて深く感謝申し上げます。

東日本大震災から4年半が経ち、私たちは今あらためて「福島県の被災者支援」という重い課題に直面しています。福島県の被災者は原発事故の影響などで、復興が遅れ、先が見通せない状況におかれています。福島では、これから避難指示が解除され帰還が始まり、地域住民を主体とした新たな活動が開始します。避難先での定住を決断する方々もいらっしゃいます。
こうした中、被災者が今後どこでどのように生活していくのか、それぞれが抱える問題は深刻です。

本シンポジウムでは、福島県の被災者支援団体の声、および福島県の被災者の現状に詳しい有識者のパネルディスカッションを通じて、私たち一人ひとりができる支援の形を考えます。

シンポジウム概要

日時 2015年1116日(月)16:30-20:00(16:00開場)
16:30~シンポジウム 19:00~レセプション
会場 ルポール麹町3階「マーブル&エメラルドの間」
東京都千代田区平河町2-4-3 地図はこちら
定員 先着150名程度(参加無料
要事前予約 11月12日(木)締切
主催 認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム
問合先 JPF事務局 齊藤、谷内田、坂巻
TEL:03-6261-4751 FAX:03-6261-4753
E-MAIL:fukushima@japanplatform.org
(氏名、ご所属、電話番号、E-Mailを明記下さい)

プログラム内容

第1部 シンポジウム(16:40~18:45)

  • 緊急アピール『福島が今抱えている課題』(16:40~17:30)
    福島の被災者支援を行う団体からのビデオレターを上映し、JPF福島地域担当が支援の現状と今直面している課題について報告いたします。
  • パネルディスカッション『これから福島にどの様な支えが必要か』(17:30~18:45)
    3人の専門家から、これまでの福島支援の経験を踏まえ、今、福島の被災者支援において何が求められ、必要とされているのかを発表して頂きます。さらに、ディスカッションを通して、今後私たちは民間として何ができるのかを考えていきます。

パネリスト

  • 長有紀枝氏(AAR Japan[難民を助ける会] 理事長/JPF理事)
  • モシニャガ・アンナ氏(国際連合大学サステイナビリティ高等研究所主任研究員)
  • 佐藤滋氏(早稲田大学理工学術院教授)

弟2部 レセプション(19:00~20:00)

飲み物と軽食をご用意し、参加者の皆様のネットワーキングを深めて頂きたいと思っております。

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