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熊本地震復興祈念「震災から学び経験を活かすシンポジウム」を開催しました。

4月21日、ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)とともに、熊本地震から3年目の復興祈念ウィークにおいて、熊本地震以降の行政、NPO、社会福祉協議会等による三者連携の経験を共有し、防災への課題を探るためのシンポジウムを開催しました。当日は熊本県内外から、約100名の方々が来場されました。また、熊本のテレビ、新聞等のメディア関係者も取材に訪れました。

メディア報道
4月21日 テレビ熊本(ウェブサイトでの公開は終了)
4月22日 熊本日日新聞

シンポジウムの内容

1.基調講演「地域の再生・コミュニティが防災につながる」

講師:松丸 亮氏/東洋大学国際学部国際地域学科 教授/博士

松丸  亮氏/東洋大学国際学部国際地域学科 教授/博士

コミュニティは防災や減災の最前線にあり、強いコミュニティが防災にも強いという考えに基づき、被災地においてコミュニティの果たす役割を、松丸教授が調査を実施した熊本、フィリピン(2013年の大型台風ヨランダ)、イタリア(2016年のイタリア中部地震)での事例を踏まえて紹介しました。

熊本については、熊本県の統計資料をグラフにして見える化し、被災者の居住状況等の変化を示しました。また、災害公営住宅での新たなコミュニティ形成や、公営住宅に入らない人が移転先のコミュニティにいかに溶け込んでいくのかといった課題を提起しました。

フィリピンでは、避難所から仮設住宅棟への居住地の変化、集団移転が、人々とコミュニティとのつながりや信頼関係とどのように結びついているのかが示されました。また、イタリアのアマトリーチェやカメリーノでは、仮設住宅が従来の居住地から比較的近い場所に建設され、仮設の商店街等も仮設住宅の近くに立地しています。また、教会や劇場が、住民に交流の場を提供し、コミュニティの維持を図る役割を担ってきたことから、何よりも再建が優先されています。

自然災害の多い日本では、国内の各地での被災時の取り組みや経験を参考にして、将来の災害時への備えを行ってきましたが、フィリピンやイタリアなど、日本同様に自然災害が発生する国々のコミュニティ防災の事例も非常に興味深く、各国の取り組みからも学ぶ意義があると感じられました。

2.パネルディスカッション

パネリスト:
小林 政夫氏/社会福祉法人 大阪ボランティア協会
石原 達也氏/特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
定森 光氏/特定非営利活動法人 北海道NPOサポートセンター
川口 和博氏/社会福祉法人 熊本県社会福祉協議会

モデレーター:
明城 徹也氏/特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) 事務局長

パネルディスカッション

冒頭、モデレーターの明城氏より、JVOAD設立の経緯、調整役としての初めての活動が熊本地震であったことなどが紹介されました。パネルディスカッションでは、被災地での経験の中から、以下の3つの点が取り上げられました。

(1)支援活動の事例と課題
(2)長期に渡って会合を行う意味
(3)やっておけば良かったこと

(1)支援活動の事例と課題

大阪ボランティア協会は、「おおさか災害支援ネットワーク」のメンバーとして、発災時には、事務局を担当。一部損壊家屋へのブルーシート設置の対応や要配慮者への聴き取りが支援活動の中心となりました。

岡山NPOセンターは、179の組織が連携し、SNSを通じた情報共有、クラウドファンディングなどを行いました。普段から様々な必要性について議論し、アイディアを抽出していました。

北海道NPOサポートセンターは、JVOADから情報共有会議を教わり、岡山NPOセンターからクラウドファンディング準備の支援を受けました。被災地の役場での会合開催をきっかけに行政との情報共有が始まりました。

熊本県社会福祉協議会は、NPOや市町村の支援を受けながら16カ所のボランティアセンターを立ち上げ、あらゆる相談を受けるなど、支え合いを調整しました。

課題としては、行政との連携(大阪及び北海道)、危険も伴う屋根の上での作業への対応(大阪)、被災者ニーズの把握(北海道)、地元主体の支援の不在(北海道)、被災者の生活困窮や就労への対処(熊本)などがありました。

(2)長期に渡って会合を行う意味

熊本では震災後から現在に至るまで、定期的に火の国会議が行われていますが、大阪では必要が感じられず、会議は行われなくなったとのことです。長期的に会合を行う理由としては、以下のとおり、長期的に取り組む必要のある課題についての指摘がありました。

  • 在宅被災者の問題(北海道)
  • 被災地が広域の場合には、各地域の支援策の共有(熊本)
  • 母子の支援等、具体的なプロジェクトの実施に伴う定期的な会議(岡山)
  • 情報収集が及ばずに、取り残されてしまう人がいないようにする(岡山)

(3)やっておけば良かったこと

今から振り返ってみて、こんなことをやっておけば良かったと思われることについて、以下の意見がありました。

  • 福祉や設備関連についての平時からの意見交換(大阪)
  • 質問票などの共有可能な様々なツールの用意(岡山)
  • 学校の体育館の固い床で高齢者に寝泊まりさせるのはやめて、旅館などを借り上げる(岡山)
  • 仮設住宅の改善(岡山)
  • 三者連携への理解を深めて、運営面についても考えておく(北海道)
  • 近隣の自治体がともに被災した場合の助け合いの方法を整理しておく(熊本)

今回のパネルディスカッションでは、熊本地震の経験が、全国の被災地でも活用されていることが紹介されましたが、一方で、各地の被災状況によって、異なる対応を迫られることもわかりました。明城氏が最後に述べたように、それぞれの対応力を高め、経験を次の改善へとつなげていくことが求められます。

3.鼎談(総括とこれからの取組み)「これからの災害に備えて」

進行:栗田 暢之氏/特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 代表理事
登壇:石垣 和子氏/内閣府政策統括官付企画官
   高橋 良太氏/社会福祉法人 全国社会福祉協議会 地域福祉部長

3.鼎談(総括とこれからの取組み)「これからの災害に備えて」

石垣氏は、パネルディスカッションにおいて、行政のコミットメント不足という指摘があったことに留意しつつも、被災地における情報共有会議の定着、先進的な取り組みを他の地域に共有するための全国での研修会開催などを紹介しました。また、KVOADの取り組みや連携の仕組みを全国的に注目される事例として、行政も支援をしていきたいと述べました。

高橋氏は、大規模ボランティアセンターの必要性について、人材・経験の不足により、現在の枠組みでは対応しきれず、被災者支援に十分に手が回らない現状を説明しました。また、避難所の問題にも対処していく必要があるとの考えを示しました。地域やNPO等との連携に関しては、社会福祉協議会もNPOとつながることが得意ではなく、KVOADのような団体につなぐ役割を担って欲しいと述べました。

進行役の栗田氏も、三者連携の成果として、内閣府、環境省、全社協、JVOADの連名で、「災害廃棄物の撤去等に係るボランティアとのより効果的な連携について(周知)」の事務連絡文書が出されたことを紹介しました。また、KVOADのKが熊本のみではなく、九州のKへと発展して欲しいと期待を込めて述べました。

今回の鼎談では、行政側からも社会福祉協議会側からもNPOとの連携がまだまだ十分ではないという認識が示されましたが、石垣氏、高橋氏及び栗田氏の三者の連携は不十分どころか、かなりスムーズで、三者連携の明るい未来も感じられました!

今回のシンポジウムは、国内外の災害復興とコミュニティに関する基調講演、熊本はもちろん大阪、岡山、北海道など全国の被災地における中間支援組織の取り組みや課題に関するパネルディスカッション、行政と社会福祉協議会による今後の災害を見据えた鼎談、そして、JPFの熊本地震被災者支援事業等、様々な経験や視点を共有する機会となりました。JPFは引き続き、現地の団体等と協力し、地元の方々を主体とした復興のための「地域力強化」を目指していきます。ご来場いただいた皆様、関係者の皆様、ありがとうございました!

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