NGO能力強化研修プログラム

2016年2月29日~3月4日、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を米国・ワシントンD.C.にて開催

イベントレポート

Session5: Links Between Education and Other Sectors

「教育の道は全てに通ず!」

研修2日目の最初は、昨日学んだことの復習から始まりました。緊急時における教育支援が必要とされる理由や、支援の最低基準の内容などをクイズ形式で振り返りました。「緊急時における教育支援で大事なことは、困難な状況におかれている人たちに教育を通じて希望を与えることだ」という講師の言葉は、被災地や紛争地での支援活動においても常に念頭においておきたいと思います。

その後、「教育と他のセクターの関連性」についてのセッションに移りました。ここでは、準備(preparedness)-緊急時対応(response)-復興(recovery)それぞれの段階において教育以外のセクター(シェルターや食糧セクターなど)と、どのような連携がとれるかについて学びました。

教育の道は全てに通ず!

緊急時における支援活動では、現地政府の要請に基づき教育や保健衛生など支援分野ごとに11分野の会合(通称:クラスター(※1))が設置されます(下図参照)。例えば、「教育クラスター」は現地の教育省が主体となり、ユニセフとセーブ・ザ・チルドレンがサポートする形でクラスターが形成されています。そこに、地方の教育行政関係者、教育支援を行っている(あるいは行う計画がある)国際NGOや現地のNGOなどが支援調整や情報交換のために参加しています。

教育の道は全てに通ず!

「What is the Cluster Approach?」、Humanitarian RESPONSE、
https://www.humanitarianresponse.info/en/coordination/clusters/what-cluster-approach、2016/5/13引用

緊急教育支援において、他のクラスターと連携をすることは支援の質や効率性を高めたり、包括的なアプローチのために必要不可欠です。クラスターには、ロジスティックスや通信などの機能的なものもあります。そこで、どこのクラスターとどのような連携をとれるかについてグループで話し合い、発表しました。

教育の道は全てに通ず!

私たちのグループは、教員やその他の教育関係者に関わる支援活動において、教育以外のクラスターとどのような連携が必要かについて考えました。例えば、紛争や災害で教員が犠牲になってしまった場合、子どもたちが学びを継続するためには新たな教員を採用する必要があります。場合によっては、教員の資格がない人でもアシスタントとして臨時的に子どもたちの学習をサポートしてもらう必要がでてくるかもしれません。難民キャンプ内に学校が設置される場合などは、教育クラスターの他、キャンプ管理のクラスターとの連携が重要です。また、自然災害でアクセスが悪い場所に学用品の配布など行う場合には、ロジスティックスのクラスター、衛生教育を行う場合は水やトイレなど衛生を取り扱うWASHクラスターからの情報やサポートが必要です。教育クラスターのみで活動の調整が済む場合もありますが、支援の質の向上や効率化が図れるという点において、他クラスターとの連携の重要性を改めて感じました。

木村 万里子
(公社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)

※1)クラスター
国際人道支援の現場において、分野ごとに得意な団体が連携、形成し、支援の重複やギャップを避けることを目的としたアプローチ。主に食料安全保障、キャンプ調整及び運営、早期復旧、教育、緊急シェルター、緊急通信、保健、輸送(ロジスティックス)、栄養、保護、水と衛生(WASH)の11分野のクラスターが存在する。

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イベント概要

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」(※)の一環として、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を、来年2月29日~3月4日の日程で米国・ワシントンD.C.にて開催します(共催:米国NGO団体Mercy Corps)。

これは、昨今の世界情勢や緊急人道支援の性質と傾向、また以前よりJPF加盟NGOから寄せられていたトレーニング開催への高い要望を鑑み、JPFが教育分野における国際的なミニマム・スタンダード(INEE)についての学習機会の提供を模索してきた結果によるものです。
本研修参加者は研修終了後、トレーナーとして年度内に日本にて約2日間の研修を実施していただくことになります。よって、緊急教育支援に従事した経験を持ち、かつ日本での普及活動に意欲的な方を対象に開催すべく、研修内容や参加者の応募資格、条件等については鋭意調整中です。詳細決定次第、随時ご案内いたしますが、ご関心のある方は直接下記窓口までお問い合わせください。

INEE教育ミニマム・スタンダードとは:
緊急教育支援の情報ネットワーク(Inter-Agency Network for Education in Emergency : INEE)が策定した緊急時の教育におけるミニマム・スタンダードです。INEEの運営には、UNHCE、UNICEF、UNESCO、USAID、World Vision Internationalなどが入っており、国際的に認知されている基準です。本スタンダードは、ハリケーン・台風・地震・洪水などの「自然災害」と紛争や内戦によって引き起こされた「複合的な緊急情勢」に緊急的に対応するために設計されており、現在170ヶ国で使用されています。

参考:

INEE
http://www.ineesite.org/en/

INEEミニマムスタンダード
http://toolkit.ineesite.org/toolkit/INEEcms/uploads/1012/INEE%20MS%20Japanese_2010.pdf

内閣府HP:緊急時の教育のための最低基準とは
http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article033.html

※「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」について:
「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」とは、米日カウンシル(US-Japan Council)主導のTOMODACHI イニシアチブ、ならびにJ.P.モルガンの支援を受け、JPFが米国のNGO団体マーシー・コー(Mercy Corps)とのパートナーシップのもとに実施している研修事業です。東日本大震災におけるNGOの支援活動から得られた貴重な経験や教訓を活かし、日本のNPO/NGOが国内外でより効果的な人道支援活動を行うための能力強化を目的としており、2013年4月~2016年3月までの3年間で、人道支援に関するさまざまな研修を計画、実施しています。

研修概要

期間
2016年2月29日(月)~3月4日(金)
※この日程には、出発・帰国日は含まれていませんのでご注意ください。
渡航先
米国・ワシントンD.C.
費用
無料
※米国往復航空運賃(上限あり)、ESTA(渡航認証)申請費用、研修期間の保険料、米国国内宿泊費、日当(注)はJPFが負担します。
注)日当はMercy Corpsの規定額に基づき、米国ドルで支給されます。
定員
日本人10~15名 (外国からの参加者複数名)
※厳正な審査の上、参加者を決定します。
言語
英語

本件に関するジャパン・プラットフォーム(JPF)についてのお問い合わせ先

特定非営利活動法人(認定NPO法人)ジャパン・プラットフォーム

NGO能力強化研修プログラム担当:鈴木、谷口
E-mail:training@japanplatform.org
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-6-5 麹町GN安田ビル 4F
TEL:03-6261-4751(事業部直通) 代表:03-6261-4750 FAX:03-6261-4753