NGO能力強化研修プログラム

2016年2月29日~3月4日、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を米国・ワシントンD.C.にて開催

イベントレポート

Session6: Emergency Preparedness & Contingency Planning

「緊急下の教育支援における事前対策の重要性:コンティンジェンシー・プラン」

まず、Jusoor Refugee Education(※1) のセッション・ファシリテーターより、コンティンジェンシー・プランとそのプロセスの概要について説明がありました。コンティンジェンシー・プランとは、「社会や環境を脅かすような、特定の起こり得る事態、または起こりつつある状況を分析し、そのような事態や状況にタイムリーかつ、効果的で、適切な対応をするための準備を事前に行うためのマネジメントプロセス」と定義されます。

緊急下の教育支援における事前対策の重要性:コンティンジェンシー・プラン

近年増加している災害の影響により、これまでの人道と開発支援モデルにも変化が生じています。これまでの古いモデルでは、災害などの危機(crisis)が起きてから緊急・人道支援が行われ、その後、復旧支援、そして開発支援へと移行していくため、それぞれの段階が独立して捉えられています。他方、新たなEmergency Management Cycleモデル(下図参照)では、人道支援も、緊急事態への準備(preparedness)、対応(response)、復旧(recovery)、軽減(mitigation)の一連のサイクルの一部ととらえられています。このモデルはいわゆる人道と開発のギャップの問題を埋めるものでもあります。コンティンジェンシー・プランのプロセスには、「1)起こり得る緊急事態の分析」、「2)起こり得るインパクトの分析」、「3)明確な目的と手段の確立」、「4)準備したことの実施」の4つの段階が含まれています。

緊急下の教育支援における事前対策の重要性:コンティンジェンシー・プラン

以上を踏まえて、セッションでは以下の3つのグループワークが行われました。
(1)なぜコンティンジェンシー・プランが必要なのか。
(2)学校、コミュニティ、地方、国のそれぞれのレベルにおいて、誰がコンティンジェンシー・プランニングに含まれるべきか。
(3)グループメンバーの活動する国や地域でどのような危険(hazard)があり、どのようなシナリオが考えられるか(最悪から最良のものまで)。

緊急下の教育支援における事前対策の重要性:コンティンジェンシー・プラン

荒川 奈緒子
(独)国際協力機構(JICA)

※1)Jusoor Regufee Education
国外居住シリア人によるNGO。シリアの発展とシリア人青少年が自身の可能性を引き出すことを目的として、彼らを対象とした教育、キャリア開発、グローバル・コミュニティ参加等のプログラムを企画、運営している。
http://jusoorsyria.com/#

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イベント概要

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」(※)の一環として、「INEE教育ミニマム・スタンダード・トレーナー養成研修」を、来年2月29日~3月4日の日程で米国・ワシントンD.C.にて開催します(共催:米国NGO団体Mercy Corps)。

これは、昨今の世界情勢や緊急人道支援の性質と傾向、また以前よりJPF加盟NGOから寄せられていたトレーニング開催への高い要望を鑑み、JPFが教育分野における国際的なミニマム・スタンダード(INEE)についての学習機会の提供を模索してきた結果によるものです。
本研修参加者は研修終了後、トレーナーとして年度内に日本にて約2日間の研修を実施していただくことになります。よって、緊急教育支援に従事した経験を持ち、かつ日本での普及活動に意欲的な方を対象に開催すべく、研修内容や参加者の応募資格、条件等については鋭意調整中です。詳細決定次第、随時ご案内いたしますが、ご関心のある方は直接下記窓口までお問い合わせください。

INEE教育ミニマム・スタンダードとは:
緊急教育支援の情報ネットワーク(Inter-Agency Network for Education in Emergency : INEE)が策定した緊急時の教育におけるミニマム・スタンダードです。INEEの運営には、UNHCE、UNICEF、UNESCO、USAID、World Vision Internationalなどが入っており、国際的に認知されている基準です。本スタンダードは、ハリケーン・台風・地震・洪水などの「自然災害」と紛争や内戦によって引き起こされた「複合的な緊急情勢」に緊急的に対応するために設計されており、現在170ヶ国で使用されています。

参考:

INEE
http://www.ineesite.org/en/

INEEミニマムスタンダード
http://toolkit.ineesite.org/toolkit/INEEcms/uploads/1012/INEE%20MS%20Japanese_2010.pdf

内閣府HP:緊急時の教育のための最低基準とは
http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article033.html

※「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」について:
「TOMODACHI NGOリーダーシップ・プログラム」とは、米日カウンシル(US-Japan Council)主導のTOMODACHI イニシアチブ、ならびにJ.P.モルガンの支援を受け、JPFが米国のNGO団体マーシー・コー(Mercy Corps)とのパートナーシップのもとに実施している研修事業です。東日本大震災におけるNGOの支援活動から得られた貴重な経験や教訓を活かし、日本のNPO/NGOが国内外でより効果的な人道支援活動を行うための能力強化を目的としており、2013年4月~2016年3月までの3年間で、人道支援に関するさまざまな研修を計画、実施しています。

研修概要

期間
2016年2月29日(月)~3月4日(金)
※この日程には、出発・帰国日は含まれていませんのでご注意ください。
渡航先
米国・ワシントンD.C.
費用
無料
※米国往復航空運賃(上限あり)、ESTA(渡航認証)申請費用、研修期間の保険料、米国国内宿泊費、日当(注)はJPFが負担します。
注)日当はMercy Corpsの規定額に基づき、米国ドルで支給されます。
定員
日本人10~15名 (外国からの参加者複数名)
※厳正な審査の上、参加者を決定します。
言語
英語

本件に関するジャパン・プラットフォーム(JPF)についてのお問い合わせ先

特定非営利活動法人(認定NPO法人)ジャパン・プラットフォーム

NGO能力強化研修プログラム担当:鈴木、谷口
E-mail:training@japanplatform.org
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-6-5 麹町GN安田ビル 4F
TEL:03-6261-4751(事業部直通) 代表:03-6261-4750 FAX:03-6261-4753