私にもできること
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日本は徐々に遺言書を作成する文化が広がってきており、家族や友人から遺言書というワードを聞くことも増えたのではないでしょうか。終活を考える際に、遺言書は真っ先に思い浮かぶほど代表的なものになりました。
終活を検討している方の中には、ご自身の大切な財産を、誰に・どのように託すかについて悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。そうした選択肢の一つとして、遺言や相続財産を通じて寄付を行う「遺贈寄付」があることをご存じでしょうか。
遺贈寄付は、ご自身の想いや価値観を、未来へとつなぐ方法の一つでもあります。
この記事を読んで、これから終活を始める方、検討中の方には遺言書の全体感がわかるように、既に遺言書を作成された方には確認の意味でもお役に立てるよう、まずは遺言書の必要性について整理していきます。
「私はそもそも遺言書が必要なの?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。確かに遺言書と聞くと、どこか仰々しいし、大袈裟だと思う方もいるでしょう。
遺言書の必要性を知る上で、「遺言書でできること」を理解すると、自ずと遺言書が必要かどうか理解でき、適切な判断ができると思います。
ここでは遺言書でできることの代表的なものを記載します。
その他にも子の認知、相続人の廃除などありますが、ここでは最初に覚えてほしい3点を解説していきます。
遺言書は「生前にできる財産配分の指示書」です。遺言書がないと、ご自身に相続が発生した後、自宅不動産や銀行預金や運用商品などの配分を相続人全員で話し合いをして決めます。
自宅不動産は妻に相続してほしいという気持ちがあれば、その旨を書面に残しておけるのが遺言書のメリットです。
仲が良い家族であっても、お金の話はできるだけしたくないといったこともあると思うので、相続人同士の話し合いに対する負担軽減の観点から遺言書作成をする方もおります。
もちろん、ドラマや映画などのように不仲な家族関係があり、その対策として財産の配分指定をする意味の遺言書もあります。このように、家族仲が良好であっても不仲であっても遺言書の必要性はあります。
遺言書がないと、原則相続人にしか財産を遺すことはできません。しかしながら、遺言書があると相続人以外の人(法人含む)に遺すことができ、最大の特徴ともいえます。
例えば、お世話になった友人、社会貢献のためにNPO法人、子はいるけど孫にも遺す(子がいる場合は孫(養子縁組除く)は相続人ではありません)などがあります。
上記のケースの場合は、遺言書を作成する動機になります。
将来、遺言者の相続発生後に、遺言書を実現する者を遺言書執行者といいます。
遺言執行者は、遺言書に記載されている通り手続きを行う者で非常に大切な役割です。遺言執行者は指定することができ、遺言書に記載することができます。
遺言執行者は個人、法人どちらもなることができるので、信頼できる人を指定しましょう。(誰に任せると良いかは後述いたします)
遺言書でできることをご理解いただいた上で、遺言書が必要な代表的な方はこちら
細かく見ていくと上記以外にもありますが、まずは上記3点について考えてみると良いと思います。
また、自身が上記に該当しない、どっちかわからないという方であっても、家族や周囲の環境変化により将来的に該当することもありますので、しっかり知識をつけておくとよいでしょう。
遺言書が必要かどうかは解説いたしましたが、次に遺言書を作成する場合は誰に頼むのが良いのでしょうか。
大きく分けて3つのケースに分けられます。
では、1つ1つみていきましょう。
1つ目の方法としては、ご自身で遺言書について勉強して、ご自身で作成するケースです。
プロに依頼や助言を求めることで発生する費用などは支払わなくて済みますが、遺言書は専門知識を要するためその分の時間と労力がかかる可能性があります。
作成方法や要件を間違えると、せっかくの遺言書が無効となってしまうこともありますので注意が必要です。
2つ目の方法としては、弁護士等の士業の先生に依頼することです。依頼や助言を求めることで費用の支払いは生じますが、専門的な知識により助言を受けることができ、しっかりとした遺言書を作成することができるでしょう。
特に士業の先生の中には、相続や遺言書に特化したサービスを展開している方もいるので、そういった士業の先生に依頼すると更に専門的な助言をうけられるかもしれません。
ただ、相続や遺言書に詳しい士業の先生をご自身で探し、最終的にどの士業の先生に依頼するかを判断しなくてはいけません。
※ジャパン・プラットフォーム(JPF)への遺贈についてご相談いただいた場合、状況に応じて弁護士や税理士などの士業をご紹介することも可能です。お気軽にお問合せ下さい。
3つ目の方法としては、信託銀行・銀行などに相談することです。実は信託銀行や銀行も遺言書を取り扱っています。日々、預金や資産運用で関わっている銀行の担当者であれば気軽に相談することができるのは大きな安心感に繋がると思います。
また、金融機関であれば様々なサービス・ネットワークがあるため、遺言書以外の様々な悩みにも幅広く対応することができるメリットもあります。
しかしながら、依頼や助言を求めることで費用の支払いが生じますので、費用感に合った選択が必要となります。
※ジャパン・プラットフォームへの遺贈についてご相談いただいた場合、状況に応じて弁護士や税理士などの士業をご紹介することも可能です。お気軽にお問合せ下さい。
ご自身に万が一あった際に、遺言書通りに相続手続きすることを遺言執行といいます。
遺言書を作成することも大切ですが、1番重要なことはご自身に相続が発生した後に、遺言書を実現することです。
故に、その遺言執行を任せる者(遺言執行者)を誰にするかが非常に重要になってきます。
大きく分けて①個人②法人があります。
メリット、デメリットをみていきましょう。
遺言執行者が個人になる場合の例はこちら
遺言執行を個人に任せる場合に気を付けるべきことは、個人に任せる以上、ご自身よりも先にその方に相続が発生してしまうことや、存命でも何らかの理由(意思能力がない等)により遺言執行が不可能になってしまうことです。
ただし、個人であるため、組織とは違い信頼できる方が遺言執行者になってくれることがメリットですので、後述する法人のメリット、デメリットを考慮して検討すると良いでしょう。
遺言執行者が法人になる場合の例はこちら
遺言執行者を法人にする場合の大きなメリットは、個人と比較して、法人は法人が存続し続ける以上なくなることはない点です。
例えば銀行の担当者に相続が発生した場合や、病気などで仕事ができなくなってしまった場合でも、法人として遺言執行者を指定しているため、別の担当者が遺言執行をすることができます。
ただし、組織で行っている以上は信頼していた担当者が人事異動や転職・退職などで変更になることもあります。
できるだけ万全を尽くすかたちで遺言執行をしたい方は、遺言執行者は法人にしておくとよいでしょう。
遺言書の種類は、①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3つがあります。
秘密証書は特殊なので、今回は①自筆証書遺言と②公正証書遺言についてみていきましょう。
自筆証書遺言は作成条件があるため留意しながら作成しましょう。
後述する公正証書遺言は費用がかかりますが自筆証書遺言は費用がかからないため、費用面のハードルも低く、また、ご自身のみで遺言書作成が完結するため手軽に作成できるのがメリットです。
他にも条件を満たさない場合は無効になったり、そもそもご自身のみで作成できるため相続発生後に自筆証書遺言が見つからなかったり、相続人などにより自筆証書遺言を隠匿されたりする可能性もあります。
よって、自筆証書遺言のメリット、デメリットを理解して選択することが大切です。
公証人・証人2人以上立ち合いのもとで遺言書作成を行う
公正証書遺言は公証人への費用がかかる分様々なメリットがあります。遺言書を作成する際に公証人から助言を受けられたり、内容確認をしてくれたりするため、大きな安心感を得られるでしょう。
また遺言書原本を公証役場で保管することで、紛失や隠匿、見つからないリスクにも対応できます。
そして何より、円滑な遺言執行を実現するために検認が不要であることは大きなメリットでしょう。
財産額などに応じた公証人への費用を支払う必要があります。
また、公証人が遺言書作成するための正確な情報を書類で確認するために、戸籍謄本等を取得して提出することもあります。

今まで遺言書の種類や遺言執行者を誰に任せるかなどをみてきましたが、実際に遺言書作成費用はいくらかかるのか気になりますよね。
自筆証書遺言と公正証書遺言でも異なりますし、遺言書作成や遺言執行をどこに任せるかで費用感が変わります。
公証人への費用は以下の表に基づいて、財産額などにより計算されて決定します。
例えば、1億円を保有して1人の方に遺すのであれば、43,000円となります。
下記の表は受け取る人数や額によって変わります。他にも、1億円以下の方にかかる13,000円の加算、遺言書の枚数によっても加算があります。
証人の謝礼はおおよそ5,000円から10,000円になります。

(出典:日本公証人連合会 2026.01.26時点)
上記で遺言書を作成する際の最低限の費用はお伝えしましたが、場合によっては他にも追加で費用がかかる可能性があります。
金融機関や士業へ遺言書作成サポートを依頼した場合は、別途費用がかかります。
遺言書を作成する際には、相続人情報を正確に確認するための戸籍謄本、不動産情報を正確に確認するための不動産登記簿謄本が必要な場合があります。
このような書類を取得するためには、役所の窓口などで発行手数料などがかかりますし、取得自体を士業に依頼する場合は更に報酬も必要になります。
自筆証書遺言のデメリットであった形式的な条件を満たさないことによる無効、検認が必要であることなどが自筆証書遺言書保管制度により解消されるでしょう。
また、相続発生後、遺言者が指定した方への通知をしてくれる制度は、自筆証書遺言書保管制度ならではの公正証書遺言にはないメリットだと思われます。
ただし、自筆証書遺言書保管制度では遺言書の内容の検証まではしてくれない点は注意が必要でしょう。
自筆証書遺言書保管制度の費用は3,900円となります。
エンディングノートは遺言書とは違い、法的拘束力がありません。いわゆる遺書ということです。よって遺言書と類似するように感じる方も多いと思いますが、全くの別物です。
ただし、相続発生後にエンディングノートがあることで相続人などに向けて、資産の保管場所、葬儀・埋葬の方法など伝えることができるため、遺言書と組み合わせて作成すると効果的でしょう。
以下がエンディングノートの特徴です。
遺言書とエンディングノートの比較表を記載します。

遺言書で寄付を検討しても、誰に相談して良いかわからないといった悩みは多くあります。ご自身の周りに遺言書に詳しい方がいない、相談できる専門家もいないという声も聞かれます。
ぜひお気軽に、ジャパン・プラットフォームまでお問い合わせいただくのがおすすめです。
遺言書の作成や手続きなど、提携する専門家と共に適切なアドバイスをさせていただきます。
早乙女裕輔 (https://izo.readyfor.jp/)
READYFOR株式会社遺贈寄付コンサルタント
AOI行政書士事務所代表
2013年に大手銀行へ入行後、大手信託銀行にて富裕層向けに資産承継コンサルティングに従事。遺言書作成100件以上、相続相談件数5,000件以上の実績を有する。
2021年よりREADYFORに参画し、200件超の遺贈寄付相談に対応。2023年に行政書士事務所を開業。2025年には英国紙 The Times の取材を受け、遺贈寄付の実務課題について論じた。
遺言書をつくることは、ご自身の人生の中で大切にされてきた想いを、未来のためにいかすことにつながります。築かれてきた財産とその想いを、未来へつなぐ方法の一つとして、寄付という選択肢があることを知っていただければ幸いです。
JPFでは、災害・人道支援に財産を役立てたいと考えられている方お一人おひとりのお気持ちを尊重してご相談をお受けしています。
ご意思がお決まりでない方、少しだけ話を聞いてみたいという方も、まずはお気軽にご相談ください。

ヨルダンザータリキャンプ/2017.01.15 ©JPF