実は身近な「国内避難民」とは?難民との違いやJPFの支援事例~世界難民の日によせて

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実は身近な「国内避難民」とは?難民との違いやJPFの支援事例~世界難民の日によせて

©JPF 福島

世界で最も多い避難のかたちは「国内避難」

6月20日は、国連が定めた「世界難民の日※1」です。2000年12月4日、国連総会で、毎年6月20日を 「世界難民の日」(World Refugee Day)とすることが決議されました。難民の保護と支援に対する世界的な関心を高め、UNHCRを含む国連機関やNGOによる活動に理解と支援を深める日にするために制定されました。

紛争や迫害により故郷を追われた人々に思いを寄せるこの日に、あらためて「避難」という現実について考えてみましょう。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2025年末時点で、避難を余儀なくされた人は1億1,780万人にのぼります※2
この数字は2024年末(1億2,320万人)からわずかに減少しているものの、依然として非常に高い水準にあります。

その中でも、最も多くを占めているのが「国内避難民(Internally Displaced Persons:IDPs)」と呼ばれる人々だということをご存じでしょうか。

難民と国内避難民(IDP)の違い

●「難民」とは

人種、宗教、国籍、政治的意見、または特定の社会集団に属することを理由に迫害を受けるおそれがあり、自国にとどまることができず、他国に逃れて国際的な保護を必要とする人々のこと※3

これは1951年の「難民条約」などで定められた国際的な定義です※4

●「国内避難民」とは

紛争や暴力、災害などによって住まいを追われながらも、国境を越えず自国内にとどまる人々のこと※3
UNHCRも、こうした人々の存在が世界的に増加していることを指摘していて、難民と同様に支援を必要とする人々であるとしています。

世界の国内避難民はどれくらいいるの?増え続ける避難の現状

近年、国内避難民の数は、大きく増加しています。

IDMC※5によると、2024年末時点で国内避難民の数は、はじめて8,000万人を突破し、過去最多の約8,340万人に達しました※6

最新報告(GRID2026)によると、2025年末時点での世界の国内避難民は8,220万人となっており、依然として過去最多に近い水準を維持し続けています※7

また2025年には、紛争や暴力により3,230万人の新たな国内避難民が発生し、災害による避難(2,990万人)を初めて上回りました※7。 
この数字は、監視開始以来最多を記録し、国内避難が一時的な出来事ではなく、長期化・常態化している現実を示してると言えるでしょう。

紛争・災害と国内避難民:実は日本でも避難は身近な問題

国内避難民の増加の背景には、複数の要因があります。

  • 紛争の激化・長期化
  • 気候変動に伴う災害の深刻化
  • 貧困や社会不安と結びついた複合危機


特に近年は、紛争による避難が大きく増加しています。スーダンやウクライナなどでは、激しい衝突や治安の悪化により、多くの人々が国内での避難を余儀なくされ続けています。

避難原因別国内避難民数(紛争と暴力)避難原因別国内避難民数(紛争と暴力)出典:IDMC, 2026 Global Report on Internal Displacement, 13 May 2026


同時に、洪水や地震、台風などの自然災害も、世界各地で大規模な国内避難を引き起こしています。こうした複数の要因が重なり、避難は一時的なものではなく、長期化する傾向にあります。

こうした「国内避難」は、決して遠い国の問題ではありません
災害によって日常を失い、不安定な環境で生活するという状況は、日本でも発生しています。

2024年の能登半島地震では、多くの人々が住まいを離れ、避難所や別の地域での生活を余儀なくされました。
また、東日本大震災から15年が経った今も、福島県を中心に約2.3万人※8が避難者として生活しています。こうした状況が今も続いていることは、あまり知られていないかもしれません。

避難原因別国内避難民数(災害)避難原因別国内避難民数(災害)出典:IDMC, 2026 Global Report on Internal Displacement, 13 May 2026


紛争であっても災害であっても、人びとが故郷を追われるという現実に違いはありません。

国内避難民を支えるJPFの活動

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、避難を余儀なくされた国内避難民の方々に対し、迅速な支援を届けています。

事例①:能登半島災害支援(地震・豪雨)

2024年1月のM7.6の地震や同年の豪雨などの影響により、能登の復興は長期化し、この複合化した災害に対し迅速かつ切れ目ない支援を行い、被災者のだれ一人取り残さない支援活動を継続しています。
発災から 2年半近く経つ今も約1万6,000人が避難生活を続けています※9

JPFは、発災翌日から支援を開始、加盟NGOと連携し、

  • 迅速な人命救助、医療支援
  • 食料や衛生支援
  • 生活物資の配布
  • 仮設住宅環境の改善
  • 高齢者・子どもなどへのこころのケア
  • 生活再建支援

など、被災者のニーズに応じた支援を実施しました。

豪雨の影響で陥没した道路/石川県珠洲市/2024.9.21 ©PBV豪雨の影響で陥没した道路/石川県珠洲市/2024.9.21 ©PBV

詳細:能登半島災害支援(地震・豪雨)

事例②:スーダン人道危機2023

2023年に発生した武力衝突により、スーダンでは人口の4分の1にあたる約1,400万人が国内外で避難する世界最大規模の危機が起きています※10
スーダン国内では約900万人が国内避難民となり、440万人が国境を越えて、主にチャド、南スーダン、エジプトに避難しています※10

JPFはこの危機に対し、

  • 食料配布
  • 給水・衛生支援
  • 生活必需品の提供
  • 子どもの保護支援


など、被災者のニーズに応じた支援を実施しました。

安心して飲める水に喜ぶ子どもたち/南ダルフール州/2024.09 ©WVJ安心して飲める水に喜ぶ子どもたち/南ダルフール州/2024.09 ©WVJ

詳細:スーダン人道危機2023

おわりに~私たちにできること

世界で故郷を追われた人々の多くは、国境を越えていない「国内避難民」です。
その姿は、遠い国の出来事であると同時に、災害の多い日本のが直面する避難の現実とも重なります。

避難とは、単なる移動ではなく、生活のための仕事、地域で積み重ねてきた大切なつながりを失うことでもあります。そしてそれば、自分自身のアイデンティティやルーツにも関わります。
ニュースで見かける「避難」という言葉の背後にある一人ひとりの暮らしに目を向けること、そしてそれは身近な出来事でもあることに気づいたり、関心を持ったりすること
それが、支援への第一歩となります。

世界難民の日を機に、「国内避難民」という見えにくい課題に、あらためて目を向けてみませんか。

※今回ご紹介したコラムは、2023年11月にJPF公式Instagramに投稿したものです。

このコラムの関連URL

出典
※1 UNHCR, 世界難民の日 | UNHCR 日本
※2 UNHCR, 数字で見る難民情勢(2025年) | UNHCR 日本(11 June 2026)
※3 UNHCR, 難民とは?| UNHCR 日本
※4 UNHCR, 難民の地位に関する1951年の条約 | UNHCR 日本
※5 IDMC(The Internal Displacement Monitoring Centre:国内避難民監視センター)は、国内避難民に関するデータと分析において世界をリードする機関
※6 IDMC, 2025 Global Report on Internal Displacement, 13 May 2025
※7 IDMC, 2026 Global Report on Internal Displacement, 13 May 2026(災害による避難も含む推計)
※8 ふくしま復興情報ポータルサイト, 避難者数の推移(2026年3月31日更新)
※9 石川県, 応急仮設住宅等の入居状況について(令和8年6月1日現在)
※10 Sudan: 14 million displaced; hunger and attacks on health continue as war enters fourth year, 10 April 2026

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