災害に備えるには
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能登豪雨の影響で川が氾濫し、流木が押し寄せた住宅地の様子(輪島市門前町浦上、9月28日撮影) ©JPF
梅雨の最盛期である6~7月、台風シーズンの8~9月になると、ニュースで「記録的な大雨」や「線状降水帯」といった言葉を見聞きすることが増えました。
皆さまも日々実感されているのではないでしょうか。
実際に、日本では過去10年間のうち、日本全国の約97%の市町村で水害・土砂災害が発生しています※1。
こうした状況は、水害が特定の地域だけの特別な出来事ではなく、「毎年発生する災害」、どの地域でも起こり得る「身近なリスク」であるということをあらわしています。
近年の豪雨災害の大きな特徴として挙げられるのは、短時間に非常に大量の雨が降ることでしょう。
気象庁によると、日本では日降水量100mm以上の大雨や、1時間に50mm以上の非常に激しい雨の発生頻度が増加しています※2。
近年は、発達した雨雲が帯状に連なる「線状降水帯」によって同じ地域に猛烈な雨が降り続き、広範囲で浸水や土砂災害が発生するケースも増えています。
また、都市部では短時間の局地的な豪雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」による被害も頻繁に発生しています。
短い時間で大量の雨が降ることで排水が追いつかず、道路や地下空間の浸水などが起こることがあります。
豪雨の背景には、気候変動の影響があると考えられています。
気温の上昇によって大気中に含まれる水蒸気量が増え、ひとたび雨が降ると、より大量の降水となる傾向がますます強まっています※3。
その影響は線状降水帯にも及ぶと考えられており、温暖化の進行に伴い、発生頻度や降水強度が増加する可能性が指摘されています※4。
問題なのは、豪雨災害による被害は、雨が止んだあとも続くということです。
住宅が浸水すると、被災者は泥のかき出しや家財の搬出、清掃や消毒など、多くの作業に追われることになります。電気や水道が使えない状況が続くこともあり、日常生活を取り戻すまでには長い時間と労力が必要です。
また、被害が大きい地域では、行政や地域住民だけで対応することが難しい場合もあります。特に高齢化が進む地域では、家屋の片付けや避難生活の継続が大きな負担となり、支援の手が求められます。
さらに近年では、地震や豪雨など、被災した地域が再び災害に見舞われる「多重被災」への対応も課題となっています。復興に向けて尽力している中、再び壊されてしまうことで生活再建がより困難になるケースも少なくなく、また心理的な負担も甚大です。
このような状況で重要になるのが、人々に寄り添い、被災地のニーズに応じた、迅速かつ継続的な支援です。発災直後の緊急支援だけではなく、その後の生活再建を見据えた支援も求められているのです。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、加盟NGOや企業、行政などと連携しながら、これまで多くの被災地で、状況に応じた支援を実施しています。
2024年1月のマグニチュード7.6の大地震に続き、同年9月の豪雨、2025年8月に発生した大雨の影響を受けて能登の復興は長期化しています。
電気・水道などの生活インフラ復旧や仮設住宅の整備、損壊家屋の修繕はいずれも時間を要し、発災から 2年半以上経つ今も1万5,000人以上の方々が避難生活を続けています※5。
JPFは、避難所から仮設住宅への長い移行期となった2025年には、下記支援を実施しました。

2024年9月21日からの豪雨による現地被災状況 ©PBV
豪雨による被災状況を被災者に確認するスタッフ ©PBV
2025年8月、低気圧や停滞する前線の影響により、北陸および九州を中心に記録的な豪雨が発生しました。
石川県や熊本県、鹿児島県などでは線状降水帯が複数回発生し、総降水量が平年の数倍に達するなど、広範囲で河川の氾らんや浸水が起きました※6。
総務省消防庁の集計によると、床上・床下浸水が7,700棟以上にのぼり、死傷者も出るなど甚大な被害となりました※7。
浸水被害を受けた住宅では、泥の除去や乾燥が遅れることでカビの発生や建物の劣化につながるため、早期の対応が重要になります。
JPFは、被災地での実践経験が豊富な加盟NGOを通じ、関係機関や行政と連携を取りながら迅速かつきめ細やかに下記支援を実施しました。

床下泥だし/姶良市/2025.09 ©PBV
乾燥のため貸し出した送風機の回収にあたるスタッフ/2025.12 ©Vネット
水害は日本だけでなく、世界各地で多くの人々の暮らしや生計に影響を与えています。特に気候変動の影響が指摘される中、豪雨や洪水による被害は各地で深刻化しています。
JPFは国内だけでなく、被災地ごとの課題に応じた支援を海外の水害被災地でも実施しています。
2025年9月にフィリピン・セブ島沖で発生したマグニチュード6.9 の地震において36万人が被災し、7万人以上の人々が避難を強いられました※8。
さらに11月には台風が相次いで発生し、すでに損傷していた家屋やインフラの被害に追い打ちをかけ、被災地の状況は深刻化しました。
JPFは、地震被災者のため、緊急医療、食料、給水、生活必需品の支援を実施しました。
さらに台風による二重の被害を受けた同地域で、早期の復興に向けた下記支援を実施しました。

台風被災地では7.6万軒以上の家屋が全壊した。瓦礫と土砂が堆積している/フィリピン、セブ州タリサイ市/2025.11.11 ©JADE
避難所での浄水器の使用状況を連携団体からヒアリング/フィリピン、セブ州タリサイ市/2025.11.15 ©PBV
2025年6月下旬から続いたモンスーン豪雨によりパキスタン各地で洪水が相次ぎ、さらに8月中旬以降に被害が急速に拡大し、死者は700人を超え※9、家屋や学校、農地に深刻な被害が及びました。
特に河川の氾濫によって長期間にわたり浸水が続き、農作物や家畜が失われたことにより生活基盤が大きく損なわれました※10。
JPFは、発災以前から現地で避難民の支援活動をしていた加盟NGOとともに、下記支援を実施しました。

洪水被害の傷跡が残ったままの住宅/パキスタン北部ハイバル・パフトゥンハー州ブネール郡/2025.12.20 ©JEN
会場で物資配付のための引換券の確認を行うジェンの女性スタッフら/パキスタン北部ハイバル・パフトゥンハー州ブネール郡/2025.12.23 ©JEN
災害が発生すると、被災地では水や食料、生活用品の不足だけでなく、住まいの片付け、衛生環境の改善、心のケアなど、さまざまな支援ニーズが生まれます。しかし、その内容は地域や被災状況によって異なり、一律の支援だけでは十分に対応できません。
また、豪雨災害が頻発する昨今、発災直後の緊急対応だけでなく、その後の生活再建や地域の復旧・復興を見据えた中長期的な支援がますます重要になっています。
JPFには、国内外で活動する45以上の加盟NGOがおり、それぞれが持つ専門性や経験をいかしながら支援を行っています。
また、資金提供だけでなく、加盟NGO、企業、行政などをつなぐ「プラットフォーム」としての役割を担っています。
平時から培われたネットワークにより、各組織が連携しながら、必要な支援を迅速に届けることが可能になります。
そして、JPFの支援の輪を支えているのが、平時から災害や人道支援に関心を寄せる人々の存在です。
豪雨災害はいつ、どこで起きても不思議ではありません。
だからこそ、私たち一人ひとりが災害への備えを進めるとともに、被災地を支える仕組みに目を向けることも大切です。
JPFはこれからも、皆さまと共に、被災した人々の暮らしを支える人道支援活動を続けていきます。
出典
※1 国土交通省「我が国の水害リスクの現状」
※2 気象庁「日本の気候変動2025」降水に関する観測結果
※3 環境省【脱炭素ポータル】「日本の気候に起きている変化とその影響」
※4 京都大学ほか研究「地球温暖化の進行に伴い、線状降水帯を含む極端降水が増加することが明らかに」
※5 石川県, 応急仮設住宅等の入居状況について(令和8年7月1日現在)
※6 気象庁, 低気圧と前線による大雨 令和7年(2025年)8月6日~8月12日(速報)
※7 総務省消防庁, 令和7年8月6日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第17報)
※8 OCHA:Philippines: 6.9M Cebu Earthquake Flash Update No.2, 3 October 2025
※9 UN News:Monsoon floods kill more than 700 in Pakistan, with heavy rains set to continue, 21 August 2025
※10 OCHA:Pakistan: Monsoon Floods 2025 Flash Update #3, 26 August 2025