ウクライナで長引く避難生活を支える ~生活、保護、心理面から幅広く対応~

活動レポート

グッドネーバーズ・ジャパン(GNJP)

ウクライナで長引く避難生活を支える ~生活、保護、心理面から幅広く対応~

ウクライナ人道危機対応支援

避難してきた人にケースマネージャーがヒアリングをする様子/パヴログラード/2026.05 ©Good Neighbors Japan

●現地の状況

2022年2月以降に激化したウクライナでの武力紛争は、4年半以上が経過した今もなお続いており、約387万人(2026年6月時点)が国内避難民として生活しています※1。さらに、1,000万をこえる人々が人道支援を必要とし、国内外への避難を余儀なくされています※2。住居や学校、病院、エネルギー施設などのインフラが破壊されて、地域社会全体が大きな被害を受け、長期化する避難生活によって子どもや高齢者、障害のある人など、特に配慮を必要とする人々へのニーズが高まっています。

特に、ウクライナ東部のドネツク州ポクロウスク周辺では戦況が悪化しており、隣接するドニプロペトロウスク州は主要な避難先の一つとなっています。

避難生活が長期化する中、高齢者や障害のある方、慢性疾患を抱える方、子どものいる世帯などは、生活面だけでなく心身の健康にも大きな影響を受けています。国際移住機関(IOM)の調査によると、ドニプロペトロウスク州の国内避難民のうち、うつ病のリスクが高い人は58%(34.2万人)に上ると報告されています※3。

こうした状況を受け、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の加盟NGOグッドネーバーズ・ジャパン(GNJP)は、現地提携団体The Tenth of April(TTA)と連携し、人々の命と尊厳を守るため、2026年3月から「ドニプロペトロウスク州前線隣接地域における脆弱な戦争被災者の緊急複合人道支援事業」を実施しています。

●現地の状況

主な支援地域は、ドニプロペトロウスク州のパヴログラード、ドニプロ、クリヴィー・リフなどです。支援の対象者は、高齢者、障害のある方、女性世帯主、子ども、慢性疾患を抱える方など、特に弱い立場に置かれ、支援の届きにくい国内避難民および戦争被災者です。

一人ひとりの状況やニーズに応じて、以下の4つの支援を組み合わせて提供しています。

  • 保護リスクに応じた現金給付
  • 医療・福祉・法的支援などにつなぐケースマネジメント
  • 大人や子どもを対象とした心理社会的支援(PSS:Psychosocial Support)
  • 保存食品や衛生用品、毛布などを含む緊急避難キットの配布


ひとつの分野にしぼった支援にとどまらず、生活面、保護面、心理面の課題に幅広く対応することで、避難生活を送る人々が尊厳ある暮らしを送るための環境づくりを目指しました。

●支援の現場から

■避難民一人ひとりの状況を確認するニーズ調査

事業の開始にあたり、GNJPとTTAのチームは避難所やコミュニティを訪問し、避難民や戦争被災者が直面している課題や必要な支援を把握するためのニーズ調査を実施しました。

特に、医療を受けることが難しい高齢者や障害のある方、収入源を失った世帯、子どもを抱える家庭などでは、複数の課題が重なっているケースも少なくありません。そのため、現場では一人ひとりの状況を丁寧に聞き取った調査の結果を受け、それぞれに必要な支援につなげました。

避難してきた人にケースマネージャーがヒアリングをする様子/パヴログラード/2026.05 ©Good Neighbors JapanPSSセッションに参加する子どもたち/ドニプロ市内/2026.05 ©Good Neighbors Japan

■心理社会的支援(PSS)で心の回復を支える

心理士によるPSSでは、戦闘や避難による不安、喪失感、ストレスを抱える人々が安心して気持ちを表現できる場を提供し、心の回復を支えています。

子ども向けのグループ活動では、遊びや対話を通じて感情を表現し、他の参加者と経験を共有する機会を設けています。「Listen to My Story(私の話を聞いて)」などの活動では、子どもたちが自分の思いや不安を言葉にしながら、少しずつ安心感を取り戻していく様子が見られています。

長引く避難生活の中で、心のケアは食料や生活必需品と同様に重要な支援の一つです。GNJPは、PSSを通じて、人々が困難な状況の中でも安心して日常生活を送れるよう支援を行っています。

PSSセッション「Ballon Friends(風船の友だち)」では、子どもたちが風船の友だちを作り、友情や感情表現の仕方を学びました/クリヴィー・リフ/2026.04 ©Good Neighbors JapanPSSセッション「Ballon Friends(風船の友だち)」では、子どもたちが風船の友だちを作り、友情や感情表現の仕方を学びました/クリヴィー・リフ/2026.04 ©Good Neighbors Japan


●今後の課題

ドニプロペトロウスク州では、現在も前線地域からの避難が続いており、人道ニーズの高い状況が継続しています。今後も生活に必要な支援に加え、医療や福祉サービスへのアクセス支援、PSSなど、一人ひとりの状況に応じた継続的な保護支援が求められています。

JPFとGNJPは、現地のニーズに寄り添いながら、避難生活を送る人々の安全と尊厳を守るため、今後も幅広い支援を継続していきます。

※1 UNHCR, Country - Ukraine - Operational Data Portal, Internally Displaced Persons in Ukraine, 30 June 2026
※2 OCHA, Ukraine Humanitarian Needs and Response Plan 2026
※3 IOM, Ukraine — Oblast Profiles — General Population Survey Round 24 (August 2026)

参照:
https://www.gnjp.org/reports/detail/ukr_20260805/

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