中東危機対応支援2026(寄付受付中)
ADRA Japan(ADRA)
「以前は、雨が降るとき時期にしか農作業ができま作物をつくれせんでした。今では一年を通して種まきも収穫もできるようになりました」
イエメンでは、長期化する紛争と経済状況の悪化に加え、洪水や干ばつなどの気候要因が重なり、多くの人々が基本的なニーズを満たすことが難しい状況に置かれています。
2026年には、約2,200万人(うち女性と女児は1095万人)が人道支援を必要としており、約1,830万人が深刻な食料不安に直面していると報告されています※。
冒頭の声は、以下のような状況で約3年半支援を継続してきたジャパン・プラットフォーム(JPF)加盟NGOのADRA Japan(ADRA)の支援を受けたムルシドさんよりいただきました。
ムルシドさん/イエメン南部ラヘジュ県/2025年5月 ©ADRA
イエメン南部のラヘジュ県およびアブヤン県では、農業は人々の主要な生計手段であり、日々の生活を支える重要な基盤です。しかし、紛争の長期化や経済状況の悪化に加え、洪水などの自然災害が繰り返し発生したことで、農業用の灌漑施設が損壊し、多くの農家が十分な水を確保できない状況に置かれていました。
農業において水は不可欠ですが、灌漑施設の修理に必要な資金や、ディーゼルポンプを稼働させるための燃料を確保することが難しく、作物栽培を止めてしまったり、再開できない世帯が多くありました。このように、安定して水を利用できない状況は、農業だけでなく、地域の暮らし全体に直接影響を及ぼしていました。
JPFは、ADRAを通じて、失われた農業基盤を回復し、裨益世帯が再び安定した生計を立てられるよう、2022年9月から緊急農業復旧支援を実施してきました。
その最終段階として、灌漑設備の復旧を通じて農業生産の再開と、水資源を有効に活用するための知識や技術の向上を目的として、2025年7月から2026年2月まで支援を実施しました。45世帯(計315人)を対象に、灌漑設備の復旧や農業再開に向けた支援を行い、約3年半にわたる一連の支援を終了しました。
現地政府やコミュニティと連携し、調査と裨益者選定を行った上で、対象となる45世帯に対して、灌漑設備の修復に必要な資機材を提供しました。その結果、45世帯全てでディーゼルもしくは、ソーラー駆動式灌漑設備を導入され、安定的に水を確保できる環境が整いました。
壊れた井戸の状態を確認/イエメン南部ラヘジュ県/2024年7月 ©ADRA |
ソーラーパネルを設置/イエメン南部アブヤン県/2024年12月 ©ADRA |
灌漑設備の修復と併せて、資機材を受け取った各世帯の代表者45名を対象に、農業に関する研修を実施しました。
これらの研修を通じて、水資源の効率的な利用方法や、農業生産・販売に必要な基礎知識の理解が進み、実践につながっています。
農業研修の様子/イエメン南部アブヤン県/2024年8月 ©ADRA
事業終了時点で、45世帯すべてが修復された灌漑システムを活用し、農業生産を再開しています。
不安定な治安状況や自然環境の影響を受ける中にあっても、灌漑設備が回復したことで、農業を再び営むための土台が整いました。また、これまで十分な水を確保できず栽培が難しかったトマトやナス、メロン、スイカといった作物にも取り組めるようになり、販売を見据えた作物の栽培が可能になりました。
その結果、多くの裨益世帯が収入の増加を実感するなど、農業再開の成果が生計にも表れています。
トマトを収穫する/イエメン南部ラヘジュ県/2025年5月 ©ADRA |
畑にナスが実る/イエメン南部ラヘジュ県/2025年10月 ©ADRA |
水は、農業と暮らしの両方を支える重要な資源です。
JPFとADRAは、本事業を通じて、灌漑設備の復旧と農業技術の向上を組み合わせることで、裨益者世帯が自立的かつ持続的に農業を続けていけるよう支援してきました。
今後も現地の状況に寄り添いながら、人びとの生活基盤を支える活動を続けていきます。
※OCHA, Yemen Humanitarian Needs and Response Plan 2026 (March 2026)
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