中東危機対応支援2026(拡大)(寄付受付中)レバノン情勢の変化にともなう新たな人道危機に対応するため、支援規模を拡大
IVY(IVY)
稚魚の放流の様子/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年6月 ©IVY
2017年8月に発生した大規模な避難民流入から約9年が経過した現在も、バングラデシュ南東部のコックスバザール県には、115万人以上※1のミャンマー避難民※2が避難生活を余儀なくされています。避難生活の長期化に伴い、同地域における人道ニーズは依然として高い状況です。
一方で、国際社会からの支援は十分とは言えず、人道支援の継続と安定的な実施が大きな課題となっています。その影響により、多くの世帯において十分な食料を確保することが難しく、栄養状態の悪化が深刻な問題です※3。特に一部のキャンプでは、家庭菜園などの自家生産の取り組みが十分に普及しておらず、食料の安定確保が困難な状況です。
加えて、避難民を受け入れているキャンプ周辺地域のホストコミュニティでは、キャンプ拡大に伴う農地の減少や雇用機会の不足などにより、生活への影響が見られています。宗教的少数派を含むこれらの住民は、収入減少と食料不足が重なり、ぜい弱な状況に置かれています。
こうした背景を受け、ジャパン・プラットフォーム(JPF)加盟NGOの認定NPO法人IVY(IVY)は、2024年4月から、バングラデシュ南東部コックスバザール県ウキア郡において、ミャンマーからの避難民と周辺のホストコミュニティに双方を対象に支援を実施しています。
生活に必要な量と質の食料を安定的に入手することが困難な人々に対し、農業技術指導を中心とした支援を行い、食料自給力の向上と持続的な生計の安定化を図ります。
本事業は、現地スタッフを中心とした体制のもとで実施しています。
現地でリーダーを務めるアベダ・スルタナ・リジャさんは、2019年から難民キャンプ内外において女性や子どもを含む5万人以上の人々への支援に携わってきました。
「これは単なる仕事ではなく、弱い立場にある人々の生活に尊厳と自立をもたらす使命である」と語り、現場での活動を牽引しています。

経理と総務を担当し、事業の運営を支えているのは過去にJPF事業や、複数の日本との連携事業に携わった経験のあるモハメド・シュルージ・カーンさんです。
「これまでに培ってきたスキルと経験を最大限に生かしながら、ぜい弱なコミュニティの人々の生活を向上させ、社会の発展に貢献するこのプロジェクトに携われることを嬉しく思います。」と話しています。

活動は、実践的な研修を通じて段階的に実施し、住民自身が継続して取り組める体制づくりを重視しています。
避難民キャンプにおいては、限られた生活空間の中でも安定的に食料を確保できるよう、シェルター間の狭小スペースを活用した家庭菜園の導入および管理手法の指導、ならびに小規模養殖(魚類)の技術指導を実施しています。
また、ホストコミュニティにおいては、野菜栽培や家畜飼育に関する技術指導に加え、収穫物の販売に関する知識や手法の提供を行い、生計向上につなげる支援を進めています。
今期(3月末~6月末)は、それぞれのニーズに即した支援につなげるための本格的な事業実施に向けた準備段階として、対象者の選定および活動開始に必要な基盤づくりをしました。
避難民キャンプでは、対象地域の住民の世帯構成や経済状況、農作物の収穫状況などを調査し、ぜい弱性の高い世帯が研修に参加できるよう裨益者500名(女性486名、男性14名)の選定を行いました。
また、新たな取り組みとして、池での魚の養殖については、専門家の知見も取り入れながら準備を進めています。
養殖開始に向けて池の計測や整備を進めるとともに、キャンプ行政関係者を対象とした事業説明ワークショップを実施しました。さらに、技術指導に向けて、研修教材の作成や配布資材の調達などの準備を整えました。
ホストコミュニティでも、対象地域において食料生産と生計向上に向けた活動の基盤が整備されつつあります。
3村において基礎調査を行い、選定基準に基づき200名(女性193名、男性7名)の農家を裨益者として特定しました。行政の承認を得たうえで事業説明ワークショップを開催し、PSEA※4に関する説明を行うとともに農家グループを結成しました。その後、研修教材の整備を完了し、7月から第1回の研修を開始する予定です。
個々の支援ニーズの情報収集中/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年4月 ©IVY |
個々の支援ニーズの情報収集中/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年4月 ©IVY |
ベースラインサーベイ実施中/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年4月 ©IVY |
行政への事業の説明会/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年4月 ©IVY |
専門家の意見を伺いながら魚の養殖の準備も進行中/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年5月 ©IVY |
魚の養殖のための池の工事の様子/バングラデシュ南東部コックスバザール県/2026年6月 ©IVY |
避難生活の長期化と支援の縮小が続く中、食料不安の改善には継続的な取り組みが求められています。
限られた土地や資源の中で生産活動を広げていくため、JPFと加盟NGOは、研修での知識や技術が実際の生産活動として定着し、安定した食料確保と収入向上につながることを目指して、継続的に支援を行っていきます。また、避難民とホストコミュニティの双方が、持続的に生活基盤を築くことができる環境づくりにも取り組んでいきます。
※1 UNHCR, Bangladesh Operational Data Portal, 31 May 2026
※2 民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、「ロヒンギャ」ではなく「ミャンマー避難民」という表現を使用します。
※3 UNHCR等による報告(避難生活の長期化および食料不安に関する指摘)
※4 PSEA(Protection from Sexual Exploitation and Abuse):性的搾取と虐待からの保護
参照:
https://ivyivy.org/activity/report/bangladesh/20260416.html
https://ivyivy.org/activity/report/bangladesh/20260608.html
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