JPFって何してるの?
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2000年8月に設立されたジャパン・プラットフォーム(JPF)は、2025年に25周年を迎えました。
本コラムでは、JPF25周年記念特別企画の一環として2026年1月21日に東京・大手町で開催された、JPF25周年記念シンポジウム「支援の輪で、未来をつくる」の中で行われたパネルディスカッションの内容についてご紹介します。
登壇は、モデレーターに日本ファクトチェックセンター編集長、ジャーナリストの古田大輔氏をお招きし、NGO、企業、政府、アカデミアというセクターを横断した次の4名で、それぞれの知見が交差する、熱量の高いディスカッションとなりました。
モデレーター
パネリスト
議論は、古田氏の問いかけを軸に、「どのような連携をし、何を生んできたのか」を振り返りながら、「これからの人道支援における課題と、そこにJPFの存在がどういかされるのか」へと展開されました。 世界各地の人道ニーズが増大する中で、JPFの強みである“つなぐ力”はどのようにいかされていくのでしょうか。
はじめに、各セクターがどのような連携を通じて支援を実現しているかが共有されました。 NGOの立場からシャンティ国際ボランティア会の山本英里氏は、企業と協働した教育支援を紹介しました。「JPFのビジョンでもある『未来を自身で切り拓く』という観点から、教育・文化支援は開発だけでなく緊急の段階から重要と考え、取り組んできました。アジアの子どもたちに絵本を届ける活動は、市民参加も目的としています。社員の方々に翻訳や制作に関わっていただくことで、新たな提案や次の支援につながる好循環が生まれています」。人と人がつながることで支援の可能性が広がることを示唆しました。

パネリスト:山本 英里 シャンティ国際ボランティア会 事務局長
企業側からANAホールディングスの宮田千夏子氏は、本業としての役割について述べました。「災害時には、エアラインの運航の再開、維持そのものが社会的使命であると同時に、人的移動や物資輸送という強みをいかすことで貢献できると考えています」。能登半島地震では、JPFと連携し、加盟NGOスタッフの移動や救援物資輸送を無償提供いただきました。「現地ニーズに応じた迅速な支援を安心してお任せできます」と、JPFとの信頼関係を強調しました。

パネリスト:宮田 千夏子 ANAホールディングス(株) 参与(SDGs担当)
政府の視点から外務省の西崎寿美氏は、NGO、企業、外務省の連携による、現地における支援の広がりを示しました。「カンボジアでの地雷除去事業では、除去後に日本企業の技術を活用して土地を整備し、農地や道路、学校建設へとつなげることで、地域の復興と生活再建を実現しています。東ティモールで日本政府が資金提供したコーヒー事業では、JPF加盟NGOのパルシックが有機栽培や農家の組織化による安定販売と商業化を推進し、大手外食チェーンでもこのコーヒーが採用されています。さらにピースウィンズ・ジャパンは、農園再生から品質向上まで支援し、昨年の年間売上1億円以上という現地運営カフェでの雇用創出にも寄与しています」。連携が、支援の成果をより重層的なものとし人々の生活再建に直結する成果を生み出していることが示されました。

パネリスト:西崎 寿美 外務省 国際協力局審議官 NGO担当大使
近畿大学の桑名恵氏は、支援のパラダイムシフトについて言及しました。開発と緊急を分けた外部主導の支援は限界を迎えており、現地の人々が自立的に運営できる「支援の現地化」が求められていると伝えました。過去に立場を越えて評価手法を共同開発し、人道支援を学術的に支えるしくみが構築されたプロジェクトを紹介し、2024年に設立された緊急人道支援学会にも触れました。また、アカデミアの役割として、次世代や大学、学会、教育機関とのつながりを挙げました。「大学での講義や現地体験を通じて、人道支援やサステナビリティを理解する人材が育ちます。さらに研究機関が関わることで、エビデンスに基づく政策提言や新たな支援モデルの開発につな が り ま す 」と述べ、連携の裾野拡大の重要性を強調しました。

パネリスト:桑名 恵 近畿大学 国際学部 教授/ジャパン・プラットフォーム 副代表理事
こうした多様な事例を受けて古田氏は、「JPFのように異なる立場の人々をつなぐしくみ、プラットフォームがあるからこそ、これだけの実践が生まれている」と評価しました。
後半では、国際社会の分断と対立が進み資金不足も深刻化する中で、人道支援のあり方そのものが問い直されました。古田氏は、こうした逆風の中で、JPFの連携の価値をどう維持・発展させるかを議論の焦点としました。
山本氏は、「現地に受け入れられてきた日本らしいきめ細やかで人々に寄り添う支援、国内災害で培った高齢化・過疎地域への対応の経験を、JPFという枠組みを通して広げていきたい」と述べました。日本の知見を共有、発信する役割、国際支援の中で存在感を高めることの重要性を示しました。
西崎氏は、桑名氏も強調した「支援の現地化」について触れ、「特に地元の方々と共に、自立に向けて経済をどう再生していくのかという点で、企業が大きな役割を担うと考えています。緊急支援から開発、平和構築までを一体で捉えるHDPネクサス※において、NGO、政府、企業の連携は不可欠です。それらをつなぎ、出口まで見据えた持続可能な支援モデルを実現していけるのが、まさにJPFのしくみ 」だと述べました。
宮田氏は、厳しい時代にあっても「長い目で見れば、企業にとってESGやサステナビリティの方向性は変わっていない」とした上で、「継続は本業や強みに根差しているかにかかっている」と強調しました。また、企業側から見たJPFの意義として「信頼できるパートナー」であることを挙げました。「どこにリソースを提供すれば現地ニーズに結びつくのかを見極めるのは容易ではありません。JPFは安心して関わることができる基盤となっています」と述べました。
桑名氏は、25年かけて築かれたネットワークこそ最大の強みであると言います。これまで緊急時だからこそ市民社会の扉を開き、積み重ねてきた信頼関係、各地の現地組織や国連機関とのつながりにより、遠隔地の危機にも迅速に対応できる体制が整っています。さらに、大学や研究機関と連携し、新しい人道支援の環境を共創していく必要性を強調しました。
これらの議論を総括し、古田氏は「今日繰り返し語られたのは『ネットワーク』『連携』『共創』といった言葉だった」と振り返りました。また、日本の支援の特長である「長期的に寄り添う姿勢」が、現場で信頼を生み、強固なネットワークの基盤になっている点にも改めて言及しました。そして、「JPFを中心にこのつながりをさらに強化し、各組織が持つ資金、技術、知見といったあらゆるリソースを結集することが、危機の時代を乗り越える鍵になる」と締めくくりました 。

モデレーター:古田 大輔 日本ファクトチェックセンター 編集長/ジャーナリスト
JPFが大切にしているのは、単なる「支援の提供」ではなく人々を中心におき、その自立を見据えた取り組みです。被災者や難民の方々を一方的な受け手とせず、共に考え、共に歩む主体として尊重すること、その実現には多様なセクターの連携が不可欠です。設立25周年ロゴに込められたマルチカラーの輪は、SDGsと多様な人々のつながりを象徴しています。その中心には、迅速な支援を表す「JPFレッド」が据えられています。これは、連携によって支援を加速させていく決意の表れでもあります。 JPFは、誰もが“支援の輪”に参加できるプラットフォームです。 変化の激しい時代において、人道支援もまた進化が求められています。 これからも、多くの皆さまと共に、現場に寄り添う支援を続けていきます。皆さまのご参加とご支援を、心よりお願い申し上げま す 。
出典
※ Humanitarian, Development, Peace NEXUS:人道危機対応の三本柱である「人道支援」・「開発」・「平和構築」に携わる国際機関や政府などの様々なアクターたちが、バラバラに活動するのではなく、より緊密に連携し、相乗効果を出す分野横断的なアプローチを促進するもの(UNDPより)